空き家や古民家が外国人に人気?インバウンド事業の可能性
日本には800万戸以上の空き家が存在すると言われ、その多くが地方に集中しています。地方では空き家の増加が問題視されていますが、近年はそれを購入してリノベーションする外国人が増えています。自らリノベーションした古民家で生活する様子を配信する外国人インフルエンサーは、国内外で人気です。
日本の古民家や伝統的な建築物に価値を見出し、新たな形で再生させるこのブームは日本の住宅市場に変革をもたらす可能性があるだけでなく、インバウンドビジネスとしても大きなポテンシャルを秘めています。
本記事では、このトレンドの背景を分析し、ビジネスとしての可能性を探っていきます。
外国人が空き家&古民家を再生する理由・メリット
外国人は何のために日本の地方に空き家を購入しているのでしょうか。外国人が空き家を購入してリノベーションする理由やメリットを上げていきます。
日本の文化・伝統への関心: 伝統的な日本建築や歴史的価値のある家屋は、海外から見ても魅力的な資産です
安価な物件価格: 都市部に比べて地方の空き家は安価に購入できるため、リノベーション費用を含めてもコストパフォーマンスが良い
投資・ビジネスのチャンス: 宿泊施設やカフェ、アートスペースとしての活用が可能で、インバウンド観光ビジネスと結びつけやすい
リモートワークの普及: IT技術の進化により、地方でも快適に仕事ができる環境が整い始めている
外国人による空き家&古民家リノベーション事例
外国人が日本の空き家や古民家をリノベーションして自分自身や家族で暮らしている例もありますが、ここでは宿泊施設などで利用している例を挙げていきます。
新潟県の「古民家村プロジェクト」
新潟県では「古民家村プロジェクト」として外国人が空き家を購入し、リノベーションを行う事例が増えています。特に欧米のオーナーが多く、日本の伝統的な木造建築を活かしながら、モダンなデザインを融合させたリノベーションが注目を集めています。
具体的には、フランス人オーナーが築100年以上の古民家を購入して宿泊施設を営んだり、アメリカ人夫婦が日本庭園付きの古民家を改修して茶道や着物体験ができる文化施設として運営したりといった例があります。
こういった施設は日本人移住者や観光客にも人気があり、新たな地域活性化のモデルケースとなっています。
京都の町家ゲストハウス
京都では外国人オーナーによる町家のリノベーションが進んでいます。
イギリス人投資家が京都の中心部に町家を購入した例では、畳や襖を活かしながらも欧米人向けのベッドやシャワールームを整備したゲストハウスに改築することで、インバウンド事業の一端を担う存在になりました。
オーストラリア人デザイナーが手掛けた町家カフェは、和洋折衷のデザインが話題となり、観光客だけでなく地元住民にも愛されるスポットに成長しました。
こうした取り組みは、京都の観光産業の発展にも寄与しており、今後さらに広がっていく可能性があります。
長野県のワーケーション施設
長野県では、外国人オーナーが古民家をリノベーションし、ワーケーション施設として活用する動きも見られます。
ドイツ人エンジニアが古民家を改装し、高速Wi-Fiやワークスペースを完備した宿泊施設を開設した例、カナダ人企業家が長野の山間部にオフィス兼宿泊施設を開業した例などが挙げられます。
自然に囲まれた環境でリモートワークできる場を提供することで、地方での新しい働き方が提案され、観光以外のビジネスチャンスが広がります。
空き家や古民家のリノベーションで地方創生するには
外国人による空き家リノベーションの動きは、日本の地方創生や観光ビジネスに多大な影響を与えることが分かります。ただし、この動きをさらに推進するためには、日本の企業や自治体の支援も必要です。
例えば、自治体や不動産事業主が空き家の空き家情報の発信する場合には、外国人が物件を探しやすいように、多言語での対応が必要です。
また、外国人の不動産購入に関する手続きを簡素化し、投資を促進するための法規制の緩和や、空き家の活用促進を目的とした補助金を設ける等といった、国や地方を挙げての取り組みが必要になりそうです。
古民家はインバウンド事業の可能性を秘めている
日本の空き家や古民家をリノベーションする外国人の増加は、住宅市場だけでなく観光産業や地域活性化にも大きな影響を与える可能性があります。新たな投資機会や事業展開のヒントにしてみてはいかがでしょうか。