イギリス上流階級の生活と特徴①【服装&食事】編

イギリスの上流階級は、歴史的に確立された階級制度の中で独自の生活様式や文化を維持しています。イギリスでは、居住エリアや職業、出身校、アクセント、そして出没エリア、利用するスーパーマーケットまでが階級ごとに異なるという興味深い特徴があります。

今回は、上流階級の人々に焦点を置き、服装、食事、アクセント、職業、スポーツ、教育に見られる特徴について、2記事に渡りご紹介します。彼らの生活を覗き見てみませんか?

 

イギリス上流階級の特徴① 服装は流行よりも質と伝統を重視

上流階級の人々は、派手さを避け、質の高い素材と仕立てに拘った服装を好む傾向があります。「クワイエット・ラグジュアリー(quiet luxury)」が最近の富裕層の間でトレンドとなっていることも頷けます。資産家をイメージした上品かつ高品質で快適なスタイルを「オールドマネー(old money)」と呼びますが、クワイエット・ラグジュアリーはその派生と言われています。ブランドが誇示されることなく控えめでミニマル、しかし上質でとことんラグジュアリー。

また、彼らは、新品よりも使い込まれた伝統的なものに価値を見出すことがあります。2023年にチャールズ国王がロンドンのモスクを訪れた際、靴下の穴をカメラに捉えられ、ニュースにもなりました。

紳士服ブランド・ハケット(Hackett)の共同創設者ジェレミー・ハケット(Jeremy Hackett)氏は、「貴族たちは、特注のスーツであれ靴であれ、良い服を買っては、それを着古すほど着ていることが分かりました」と、The Telegraphの記事「Five indicators of an upper class wardrobe(上流階級のワードローブに見られる5つの指標)」において述べています。「彼らはみすぼらしく見えるかもしれませんが、彼らが着ているものは、作られた当時は最高のものだったのです」。

例えば、イギリス上流階級の伝統的なスタイルと言えば、メンズファッションでは、Netflixシリーズ『ジェントルメン(The Gentlemen)』に見られるような、チェックやツイード、シャープな仕立て、高価な時計などがキーワードとして挙げられます。 

上流階級が愛用するイギリスのブランド例

コーディングス(Cordings)

クラシックな英国カントリースタイルを代表するブランドで、ツイードジャケットや狩猟スタイルで知られる

バブアー(Barbour)

ワックス加工のジャケットが有名な英国田園地帯でのライフスタイルをイメージした製品が多い

ハンター(Hunter)

代名詞でもあるウェリントンブーツは、悪天候の田舎や市街地​​を歩き回るスローンレンジャーにとって必需品

アクアスキュータム(Aquascutum)

レンチコートの元祖とも言われるブランドで、上品でエレガントなスタイルが都会的なビジネスウェアとして人気

ターンブル・アッサー(Turnbull & Asser)

王室御用達として知られる英国の老舗シャツメーカー。オーダーメイドのシャツが特に人気で、仕立ての良さと生地の高品質が特徴

ギーブス&ホークス(Gieves & Hawkes)

英国王室御用達のブランドで正統派のブリティッシュスタイルを提供。サヴィル・ロウ1番地に拠点を構える、英国紳士服仕立ての最高峰。ミリタリー由来の伝統的なテーラリングが特徴

 

上流階級の定番ブランドとして確立されたこれらのブランドは、クワイエット・ラグジュアリーの真髄と他とは一線を画す独特の英国らしさを兼ね備えています。

 

▼クワイエット・ラグジュアリーについての詳細はこちら

クワイエットラグジュアリーとは?富裕層から広がる消費トレンド

イギリス上流階級の特徴② 食事やマナー

イギリス上流階級では、サンデーローストやフォーマルなディナーといった伝統的な形式が好まれています。

サンデーローストとは、ローストした肉(多くの場合ローストビーフ)、ローストポテト、人参やさやいんげんなどの野菜、ヨークシャー・プディング、グレービーソースからなる中世に起源を持つ伝統料理です。イギリスには、階級を問わず毎週日曜のランチにそれを食べる習慣があります。

上流階級の人々の夕食は一般的には遅い時間の20時過ぎから始まります。彼らは、インフォーマルな夕食を「サパー」、フォーマルな夕食を「ディナー」と呼び、ディナーではイブニングドレスに着替え、男女交互に座ります。社交の場では普段話すことのない相手とできるだけ話をするべきだと考えているのです。会話は軽いトピックが好まれ、政治や宗教のような話題は避けるのがマナーとされています。

また、家族や友人を招待するアフタヌーン・ティーの文化も残っており、フィンガー・サンドヴィッチやスコーン、ケーキ、紅茶などを4時頃からゆっくりと時間をかけて楽しみます。

食材は、ローカルで新鮮なものやオーガニックにこだわる傾向があり、農場直送や高級スーパーマーケット(Fortnum & Mason、Waitroseなど)の食品を使用している可能性が高いです。

 

 

▼食事のマナーに関する詳細はこちら

紳士の国イギリスのマナーは厳しい?②テーブルマナーのタブー

紳士の国イギリスのマナーは厳しい?④上流階級の文化アフタヌーンティー

 

だからイギリス上流階級は「リッチ(rich)」でなく「ポッシュ(posh)」

「リッチ(rich)」は単に富裕層を指す言葉であり、主に経済的な豊かさを意味します。しかし、イギリス社会では「お金があるだけでは上流階級と見なされない」という考え方があります。

それは、今回取り上げた彼らの服装や食事からも感じていただけたのではないでしょうか。世代を超えた伝統を大切にし、ものは質で選び、食事のマナーを心得、洗練された文化を持っている。

「ポッシュ(posh)」には、育ちの良さや上品さ、洗練されたライフスタイルを伴う「上流階級らしさ」という意味があり、そんな彼らをまさに表現しています。

それに対して、一世代で莫大な富を築いた人々は「品位や文化が伴っていない」と見なされることがあり、ただのお金持ちというリッチが使われるのです。

続編で触れている“上流階級の教育”では、彼らのポッシュさを形成するのに欠かせない伝統的なルートや環境について知ることができます。

 

▼続編はこちら

イギリス上流階級の生活と特徴②【アクセント 職業 スポーツ 教育】編

 

 

▼弊社へのご依頼などは、こちらからお気軽にご連絡ください

Pointblank Promotions お問い合わせ

 

 

出典:

https://www.saltwaternewengland.com/2024/04/old-money-english-upper-class-style.html

https://thevou.com/blog/british-old-money-brands-men/

Next
Next

空き家や古民家が外国人に人気?インバウンド事業の可能性