イギリス上流階級の生活と特徴②【アクセント 職業 スポーツ 教育】編
前編「イギリス上流階級の生活と特徴①【服装&食事】編」に続き、イギリス上流階級の発音、職業、スポーツ、教育に見られる特徴についてご紹介します。
イギリス上流階級の特徴【アクセント 職業 スポーツ 教育】
I. イギリス上流階級の英語のアクセント・職業
イギリスでは、階級によって英語のアクセントの仕方が違うため、話し方でその人の出身やバックグラウンドが分かってしまうこともあります。上流階級のネイティブの話し方は、ポッシュ(posh:上流階級の、上品な)と表現され、英語を学ぶ人にとっての目標や憧れでもあります。
職業も含め、アクセントについては以下の記事をご覧ください。
▼階級別アクセント・職業一覧はこちら
紳士の国イギリスのマナーは厳しい?③上流階級の見分け方.特徴
II. イギリス上流階級のスポーツは乗馬?
イギリス上流階級のスポーツと言えば、ポロ、ハンティング、乗馬、セーリングが挙げられますが、特にポロ(Polo)は、古くから富を象徴するスポーツとして上流階級の人々に親しまれてきました。ポロとは、アパレルブランドPOLO RALPH LAUREN(ポロ ラルフ ローレン)のロゴからも分かるように、馬に乗ってマレットと呼ばれるスティックで球を打つチーム競技です。
1人の選手が途中で馬を乗り換えて継続するため、複数の馬を持つだけの土地や飼料費などが必要になります。つまり、上流階級の人々にとってポロを楽しむことは、それを嗜むだけの財力があることを示すステータスとも言えるのです。そうして、ポロの試合は上流階級の社交の場としても大きな役割を持つようになり、プレーヤーの家族がフィールドの外でランチやティータイムを共にするなど、家族ぐるみのスポーツとして愛されています。
さらに、プロチームのパトロンになるという楽しみ方もあります。特定のチームに資金援助するのではなく、トーナメントの賞金を獲得する目的で、大会ごとにプロチームを雇う場合が多いようです。
III. イギリス上流階級の教育
上流階級の人々は、通常、イギリスで最も格式高いパブリックスクールであるイートン校(Eton College)やハロウ校(Harrow School)、その後はオックスフォード大学やケンブリッジ大学などの名門大学で質の高い教育を受けています。
パブリックスクールとは私立中等学校(13~18歳)のことで、“パブリック”と付いていても公立校ではありません。その呼び方の由来は18世紀にまで遡りますが、元々は、特定の地域の児童に限定されていた地元の教区学校とは異なり、あらゆる地域の男子に教育を提供するために設立されたためにパブリックという用語が使われ(当時から主に富裕層やエリート層の子息を対象としてはいました)、今でもそう呼ばれているということです。[出典:Cambridge Home School「Why Are Private Schools Also Called Public Schools In The UK?」]
イギリス国内には「The Nine(ザ・ナイン)」と俗称される名門パブリックスクールが9校あり、イートンやハロウもそのうちの1つです。
水準の高い教育はもちろん、立派な紳士淑女になるための礼儀や伝統的なマナー指導も受けられること、エリートを多く輩出するオックスブリッジへの進学率が高いこと、先祖代々通っていることなどから、上流階級では子どもをパブリックスクールで学ばせることが通例となっています。学費も相当なもので、上流階級レベルの資産がないと子どもを通わせられないということもあるでしょう。
このような教育は、上流階級の人々の文化資本形成に重要な役割を果たしていると言えます。
ノブレス・オブリージュ ―イギリス上流階級としてのふるまい
先ほど「文化資本」と述べましたが、これは簡潔に言うと、「家庭環境や学校などで培われた素養やマナー、趣味」「美術品、楽器、書籍などの文化的物的所有物」「学歴や資格のような公式に認定された文化的価値」の3つからなる個人的資産のことです。フランスの社会学者ピエール・ブルデューが提唱した概念で、氏はこれらが社会的成功に大きな影響を与えていると述べています。
確かに、上流階級に生まれた場合、良質な教育を受け、名門大学へ進学するチャンスに恵まれます。上流階級同士の交流の場で社会的影響力を持った人々との人脈もでき、将来活用できるコネも獲得できるかもしれません。やはり、エリートになれるか否かは生まれながらにして決まっているということでしょうか。
しかし、上流階級に生まれた人の生活も簡単ではありません。「ノブレス・オブリージュ(noblesse oblige)」という言葉をご存知でしょうか?
19世紀にフランスで生まれた言葉で、「noblesse(高貴な)」と「obliger(義務を負う)」の複合語です。日本語では「位高ければ徳高きを要す」と訳され、財力や権威、社会的地位のある人にはそれ相応のふるまいをする義務があることを意味します。
特にイギリスでは、上流階級は文化の一部であり、ふるまい方によって国のイメージが左右されるといっても過言ではありません。恵まれた環境に驕ることなく、階級を超えた人々への配慮を持ち、人格の上でも見本となるような行動をする必要があるということです。それはいくらお金があっても本人の努力なしでは成し遂げられないことと言えます。
イギリスの階級社会は差別的?魅力的?
2記事に渡りイギリス上流階級の生活から分かる彼らの特徴をご紹介してきましたが、どんな人々なのかイメージは湧きましたでしょうか。
イギリス人は自分に近い階級の人々と仲良くする傾向があるようですが、それは必ずしも差別から来るものではありません。このような様々な違いによって階級間に壁ができてしまっていることが異階級同士の交流を難しくさせている原因なのです。
また、イギリスの人々は自分の階級を誇示したり卑屈に思ったりすることなく、それぞれの置かれた環境を誇りに思いながら、各階級の象徴とされる場やものを楽しんでいるように感じます(対立がないわけではありませんが)。
彼らにとって階級とは、身分の違いと言うよりも文化的違いからくるものという意識の方が強いのかもしれません。
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出典:
https://easysociology.com/sociology-of-inequalities/the-british-upper-class-an-outline-and-explanation/#:~:text=Wealth%20and%20Privilege%3A%20The%20British,lifestyle%20and%20access%20exclusive%20opportunities.