LegoのCMOが語る。広告宣伝部が社内にある最大のメリットとは?
広告宣伝部が社内に存在せず、広告事業を外部の代理店に委託するというのは、そんなに珍しいことではありません。しかし、Legoの最高マーケティング責任者Julia Goldin氏が、4年前にその役職に就任して取り組んだことは、社内のマーケティングチームが独立したかのような子会社、いわゆるハウスエージェンシーを構築することでした。
社内で新しい機能の構築を
Julia Goldin氏が構築した、データ分析、メディア、クリエイティビティに特化したハウスエージェンシーにより、ビジネス全体が早く効率良く回り始めました。たとえば、迅速にトレンドに対応したり、軌道修正を行ったり、ハウスエージェンシーと他のマーケティングチームとが、同じ戦略をより確実に推し進めることも可能になりました。具体的にどのくらいのスピード感が持たれているのかというと、ハウスエージェンシーや、製品マーケティングからメディア、企画、ソーシャルメディアチームの責任者までもが、1時間に1回程度の頻度で、密に連絡を取り合います。「(ハウスエージェンシーを持つことは)同じ目標、同じ議題、問題をすばやく解決する能力、組織全体の学習能力を大幅に向上させます。そして最も重要なことは、市場に対して、より機敏で応答性が高くなったことです」と、Julia Goldin氏は語ります。
製品の開発にも関与する?
Julia Goldin氏が各々のチームを評価する際は、何人の子どもに届いたのか、子どもの才能を伸ばすことはできたのか、生産性や戦略はどうであったかなどによって、指標を付けます。それはハウスエージェンシーに対しても同じです。外部の代理店の場合、ひとつの案件にかけたコストや時間、そしてクライアントから得る報酬によって社内の評価が下されるものですが、ハウスエージェンシーの場合は、その部分が決定的に異なるのです。Julia Goldin氏が言うように、外部の代理店に対しては、「御社の成功が弊社の全体的な成長に結びつくことを望んでいます」ということはできません。なぜなら、代理店は製品の開発には無関係であるからです。ハウスエージェンシーを持つことは、そこから製品の開発に関わるデータのフィードバックを得られ、それが双方の利益に繋がることも利点として挙げられます。
連携でより大きな利益を
いくつものチームが連携を取ろうとすると、無駄な会議の時間が生じたり、それに伴う作業が生じるなど、生産性が下がるのでは?という懸念もあるでしょう。マーケティングチームや、会社の組織に必要なのは、Julia Goldin氏のようなスピード感や生産性、クリエイティビティを重要視するリーダーだといえるのかもしれません。