顧客中心主義の意味とは?CC達成に必要なもの

「顧客中心主義」とは?英語customer-centricityの意味

「顧客中心主義」とは?英語customer-centricityの意味

近年のイギリスのマーケティングのキーワードとして「顧客中心主義」が挙げられていますが、「顧客中心主義」は英語でcustomer-centric(カスタマー・セントリック)やcustomer-centricity(カスタマー・セントリシティー)と表現されます。ビジネス用語で「CC」と略されているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。

ケンブリッジ英英辞典でcustomer-centricを調べると、下記のような意味があることが分かります。

designed to keep customers happy by finding out what they want and dealing with their problems quickly

(和訳:顧客が何を求めているか把握し、問題に迅速に対処することで、顧客を満足させ続けるように設計されている)

つまり顧客中心主義とは、お客様第一に考えて行動することなのでしょう。そのため、顧客中心主義のほぼ同義語として「顧客第一主義」という言葉もあります。

「顧客中心主義」のイギリス企業が増加

2018年初頭にイギリスのMarketing WeekとMiQが合同で行ったアンケート調査では、42.2%の企業がマーケティングにおいて最も重要なのは「顧客中心主義」だと回答しました。「素早さ」や「製品及びブランド中心主義」と答えた企業はその半数程度でした。

顧客中心を実現するための変革として、CMO(マーケティング責任者)をCCO(顧客責任者)と呼ぶようになった企業も増えています。CCOがいる企業は2014年に14%であったのに対し、2018年には90%まで増加しました。

なぜ今「顧客中心主義」なのか

日本では「お客様は神様」と言われることもあり、顧客中心主義がそんなに真新しい考えであるようには思えません。

最近になってイギリスで顧客中心主義が重要視され始めた要因には、SNSの存在があります。企業側がイメージを上げるために広告やテレビCMを打ち出しても、顧客満足度が低ければ、SNSによってたちまち悪い評判が流れてしまいます。逆に顧客満足度が高ければ、企業側がマーケティングをしなくても良い評判が広がりやすくもなりました。

顧客ひとりひとりを大切にすることが、企業やブランドのイメージや売り上げに、より大きな影響を与える時代へと移り変わってきたのです。

日本の「顧客絶対主義」との差は?

顧客中心主義のメリットは、お客様の声に耳を傾け、それをサービスや製品の向上に生かし、結果的に企業の利益を上げていくことだといえます。顧客の無理な要求までも聞き入れ、企業側の損失に繋がってしまっては何の意味もありません。

残念ながら日本では「顧客の言うことは絶対に正しい」というような、「顧客絶対主義」も存在しています。

「顧客絶対主義」では顧客の期待や要求を満たすことができても、それを超えることができないのです。「顧客中心主義」の場合は、顧客の期待や要求を満たした上で、そこに付加価値を加えることが求められます。したがって、要求を丸のみするのではなく、期待に応えられるような別の提案をすることで、企業と顧客両方の利益を生み出すことが正しいとされます。

たとえば、明らかに顧客側のミスなのに「商品が破損してしまったので返金してほしい」と、クレームが入ったとします。大きな企業であれば、このまま要求を受け入れることもできるかもしれませんが、個人商店のような小さなビジネスの場合は、受け入れがたい要求です。そこで、損してまでも要求通りに返金するのではなく、次回の購入時に使用できる割引クーポンを発行するなど、顧客の要求に歩み寄りながらも大きな損をしない対応が「顧客中心主義」であるといえます。

「顧客中心主義」のタブー

顧客の中には、良いお客さんと悪いお客さんがいるものです。無理な値引きや、不可能な納期など、無理難題ばかり突き付けてくる悪い顧客もいるかもしれません。

そういった場合でも、顧客中心主義では「無理です」とすぐに答えるのではなく、顧客の立場に一度賛同して熟考した上で、「どうしても難しいので、○○はいかがですか?」と、代替の提案をする必要があります。

「顧客中心主義」達成に必要なものとは?

顧客中心主義が良いことであるのは間違いないのですが、戦略なしで企業の利益に結び付けるのは難しいことが分かります。イギリスのMarketing WeekとMiQの調査でも、2018年の「顧客中心主義」の達成率は5.8%と低い数字に留まりました。

達成したと言い切るためには、まずは目標設定が必要です。たとえば、顧客の意見に耳を傾けることにより、利用者側の立場に立った製品開発を行い、その結果売り上げを○○%上昇させるというような具体的な目標です。

そうはいっても、「目標を立てるだけでも難しそうだ……」と頭を悩ませてしまう方も多いかもかもしれません。関連記事の「顧客中心主義がビジネスを成功させる①4つのポイントと3つの指標とは」では、顧客中心主義の本質をもう一度確認しながら、成功するコツをご紹介しています。また、「顧客中心主義がビジネスを成功させる②注目のイギリス企業の事例と戦略」では、具体的な事例も紹介しているのでご参照ください。

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顧客中心主義がビジネスを成功させる②注目のイギリス企業の事例と戦略

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