化粧品サンプル配布に効果がある理由

化粧品の売り込みと言えば、百貨店や薬局の化粧品売り場などで体験してもらって購入へ繋げるという方法が主流でした。しかし、コロナ禍による客足の減少で拍車がかかったeコマースやアプリの急成長により、化粧品会社は店内での体験を通じて顧客が誘惑されることに期待できなくなってきています。

その点、化粧品サンプル配布は、顧客が自分で商品を検索するのを待たずに、企業側から顧客にアプローチできる優れた方法と言えるのではないでしょうか。特に、化粧品は肌に合うかどうかが最も重視されるため、顧客が投資する前に試してみたいと思っている代表的な製品でもあります。無料で何かをもらうことを嫌がる消費者は滅多にいないので、化粧品以外の製品でもサンプリングマーケティングを行う価値はあるでしょう。

サンプリングマーケティングを実際にやってみたいと思っている方向けに、サンプリングのメリットや、効果をより発揮するための方法をまとめました。

化粧品サンプル配布に効果がある理由をお伝えします。

サンプリングマーケティングとは？メリットはある？

マーケティングにおけるサンプリングは、消費者に無料で商品・サービスを配布し使用してもらうことで、ブランドや新商品の認知度を高め顧客ロイヤリティを保つための確実な方法です。

企業側からすると、サンプルと言えども無料で配布するには費用が嵩みますし、本当に購入に繋げられるか疑わしくもあるでしょう。もちろん、戦略なしで配るだけでは無駄な投資になってしまいますのでインテリジェントなアプローチが必要です。そうすれば、ブランド・商品への認知、ロイヤルティの構築、口コミによる宣伝が期待できます。今はSNSが普及しているので、商品を気に入った一人の消費者による投稿がインフルエンサーマーケティングのような効果を出してくれることも有り得るでしょう。

また、人間は習慣的な生き物であるため、一度気に入ったものを長く使い続けるという傾向があります。よく分からない新商品にお金をかける人はほとんどいません。しかし、キャッチコピーや情報で商品の魅力を伝えるだけでないサンプル配布は、使ってみて良ければ買いたいと思っている見込み顧客が、購入という行動へ移るための後押しとして最適なマーケティング方法と言えます。

化粧品サンプル配布はイベントが最適？その効果は

EMI（Event Marketing Institute）の調査によると、サンプリングに最適なプラットフォームはイベントであることが多く、消費者の65％が購入する可能性があることが分かりました。さらに、これらの顧客の78％は、最初に試す機会が与えられたために購入したと述べています。また、調査回答者の58％は、商品を再度購入することに同意しました。このことは、サンプリングによって売上が増加するだけでなく、戦略の長期的なメリットも示す統計であると言えます。

そして、サンプリングはイベントが終わった後も口コミとして効果を発揮します。消費者の59％以上が無料サンプルを受け取り、それについて友人に話すということも分かっています。イベントは自動的にブランドにリンクされるため、参加者にとって忘れられないものになることからも口コミ効果ははるかに高くなるでしょう。

化粧品サンプル配布の効果的なやり方と注意点

サンプリングは企業の予算やアピールしたい商品の形態などに合わせ、様々な場所や配布方法が行われています。直接街頭などで手渡しをしたり、雑誌の付録などのように既に開拓されているルートを使って顧客へ届けたり。配布する商品や顧客の属性などに合わせて最適な配布方法を選択することが、効果を発揮するためには重要です。サンプルキャンペーンを行うために考えておきたいポイントを挙げてみました。

化粧品サンプル配布の方法①サンプルキャンペーンの目的を決める

目的によってサンプルにする商品が違ってくるため、新商品の認知度を高めたいのか、一般的に売り上げを伸ばしたいのかを決めます。後者の場合は一番人気の商品をサンプルにし、ファンの注目が順調に集まっているかどうかを確認します。非常に特殊な商品は無視される可能性が高いためサンプリングには向いていません。

化粧品サンプル配布の方法②配布方法はターゲットを明確にして決める

アナログ式なら配る場所がターゲットによって変わる

サンプルキャンペーンを最大限に活用するには、必ず適切な消費者をターゲットにしてください。働く女性をターゲットにしたい場合はオフィス街、子育て中の忙しい女性向けの手軽なプロセスの化粧品の場合はファミリー顧客の多いショッピングモールで配るなど、配布すべき特定の場所がターゲットによって決まってきます。

ブランドを愛用してくれている現在の顧客をターゲットにすることも有利な場合があります。ブランドとその品質を信頼している可能性が高いからです。

配布方法は、展示会などのイベント、雑誌への挿入、クロスセリング（ある商品の購入を検討している顧客に対して、関連した商品の購入を勧める手法）などがあります。先ほどのように働く女性をターゲットにした場合は、オフィス街で時間をかけて配るよりも働く女性が集まるイベントで配布したり、働く女性に人気の雑誌に挿入する方が効率が良いと考えられます。低コストでより多くのターゲットに配布できる方法を考えましょう。

SNS広告を活用した化粧品サンプル配布も

パンデミック以降、企業スタッフが足を運んで配布するというアナログ式だけでなく、SNSを活用した化粧品サンプル配布も増加しています。無料サンプル配布についてのSNS広告を流し、クリックすると応募フォームに繋がるものや、プレゼントキャンペーン投稿から応募を募ってサンプルを無料配布する方法などです。

InstagramやFacebookを利用していて、以前購入したことのあるブランドやそれと類似したブランドの広告が流れてきたという経験は誰しもあるでしょう。SNS広告は、居住地域や年齢といった個人情報による細かなターゲティングや、「いいね」やフォロワーなど、ユーザーのSNS内での行動に基づいたターゲティングも可能であり、自社製品を好みそうなターゲットにほぼ正確に届けることができるという強みがあるのです。

また、インフルエンサーに化粧品サンプルを配布し、使用画像や感想などを投稿して貰うことにも活用できます。

化粧品サンプル配布の方法③サンプルのパッケージを考慮する

サンプルの包装も重要な考慮事項であり、輸送コスト、製造コスト、流通の容易さ、使いやすさに影響を与えます。小袋は軽量で完全にブランド化可能なデザインであるため、化粧品のサンプルパッケージとして人気があり、雑誌に挟んだり、チラシに貼り付けたりするのに最適です。チューブやボトルも旅行に活用したい消費者から人気があると思われます。

ブランドと商品が確実に記憶されるように、ロゴやカラーで一貫性を保ち、ブランドアイデンティティを明確に伝えることも忘れてはなりません。

化粧品サンプル配布の方法④パートナーシップを作成する

化粧品と間接的に関係のある企業や、同じターゲットを持つ企業との協力も成功に役立つ可能性があります。

例えば、女性向け衣類の人気ブランドを扱うオンラインショップと提携し、化粧品サンプルをパッケージに忍ばせてみてはどうでしょうか。このようなパートナーシップは、両企業にとって有利であり露出と配布を効率よく行うことを可能にします。

化粧品サンプル配布の方法⑤配るだけでなく+αを

サンプリングは、単に顧客の手に商品を届けるだけではありません。サンプルパッケージに顧客が簡単にオンライン購入できるようにQRコードを印刷したり、ソーシャルメディアコンペティションを開催し、ハッシュタグとともに商品のレビューや写真を投稿して賞品を獲得するよう顧客に促したりすることで、配布の効果は何倍にも膨らみます。

工夫次第で売り上げやブランドロイヤルティ、ソーシャルメディアのフォロー数、口コミ効果がアップするのです。

化粧品サンプルの持ち込みに関税はかかる？

英国政府のウェブサイトによると、英国以外の国から商用サンプルを輸入している場合は、関税とVATの免除を請求できる場合があると述べられています。英国進出する前にイベントでサンプル配布を行い感触を確かめたいという方も、条件はありますが税金の心配なくサンプルを持ち込むことができます。