日本のコスメへの「海外の反応」人気化粧品の傾向を探る

以前の記事で、イギリスの化粧品・パーソナルケア市場が成長しており、その中でも特にオーガニックやヴィーガン向けスキンケア製品の需要が伸びていると述べました。実際に、2020年の英国のナチュラルおよびオーガニックビューティー業界の市場価値は2億2,100万ポンドでしたが、2025年までに3億3900万ポンドに達すると予想されています。

この「ナチュラル」「オーガニック」化粧品の人気と、サステナブルやSDGsの流れを汲んだ新たな美容業界のトレンド「クリーンビューティー」は、「無添加」「自然派」「安全」といったイメージの強い日本製化粧品の、海外における需要を後押しすると言っても過言ではないでしょう。

日本製化粧品に対する海外の反応や、ナチュラルが売りの日本製化粧品に使用される傾向の高い素材をご紹介します。

▼化粧品に関する以前の記事はこちら

イギリスのコスメ事情。日本製の無添加化粧品に輸出のチャンス到来?

コスメのオーガニック認証って?【英国に化粧品を輸入するには】

クリーンビューティーとは?ナチュラルやオーガニック化粧品との違い

日本のコスメ/化粧品に対する「海外の反応」は?

日本製化粧品へのイメージ

日本の美容法や習慣から生まれた日本発の化粧品は、海外ではJ-Beautyと呼ばれ、特にスキンケアが高く評価されています。

日本のスキンケアは時代を超えたスキンケアの知恵に基づいており、日本の厳しい安全性と品質規制を遵守しながら革新されてきました。多くの美容ブランドが画期的な処方や科学的研究に基づいて100%の確信があって製品を世に出しています。また、ダメージが発生した後にどうにかするための西洋の化粧品に対して、美しさは健康な肌からという美容法が元の日本の化粧品は予防に焦点を当てている点が特徴です。

これらのことから、海外では日本の化粧品は品質・安全基準ともに信頼性があり、一時の見た目の美しさだけでなく肌の健康を維持するための長期的な美を保証するものというイメージを持たれています。海外の美容関連サイトにおける記事では、「ミニマリズム、ウェルネス、セルフケアへの関心の高まりに沿った哲学である」とも述べられています。

日本のコスメ/化粧品はスキンケア以外も人気

日本製化粧品の人気はスキンケアだけではありません。ある掲示板サイトでは、某プチプラブランドのファンデーションや有名ブランドのクレンジング、大手ブランドのナイトマスク、こんにゃくの洗顔スポンジを愛用しているという書き込みや、アイライナー、マスカラ、アイブロウペンシルなどはドラッグストアコスメしか使用していないという書き込みもありました。

日本在住外国人の方で母国へ帰るときに日本の化粧品をまとめ買いして帰るという方も多いようです。

また、日本では肌が乾燥するので日本のスキンケアに切り替えたところ、保湿効果のあるスキンケアが気に入った、色白なので母国の製品より肌に合ったという意見もありました。

海外進出を考える場合は、現地の気候や人々の肌の色などの特徴を踏まえてローカライズする必要も出てくるでしょう。

日本のコスメ/化粧品を海外で売るために。取り入れたいナチュラル素材

日本製化粧品は、古くから伝わる栄養豊富でユニークな自然素材を取り入れながら、よく研究された新しい配合を導入していることで定評があります。冒頭で述べたトレンドに合う日本ならではの自然素材や実際に海外で販売されている自然派化粧品に使用されている素材をご紹介します。

① 米ぬか

米ぬかには、40種類以上のアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどに加え、γ-オリザノール、オリザブラン、トコトリエノール(スーパービタミンE)、フェルラ酸など、米特有の成分が豊富に含まれています。

シルク同様、米には保湿成分が多く含まれており、炎症を鎮める効果もあるため、ぬか床を作っている人の手はしっとり美しいという話を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。このことから、顔の手入れにも応用してみようと、米農家が老舗の化粧品会社とコラボして米ぬか由来の化粧品を開発した例もあります。

また、このような可能性を秘めながらも一部産業廃棄物として処理されてしまう米ぬか。その米ぬかを新たな製品に使用することは持続可能な農業の促進にも繋がります。

② コウジ酸

コウジ酸とは、1907年に麹から発見された化合物です。三省製薬がメラニンの生成を抑える作用を有することを発見し、美白剤として開発、1988年から医薬部外品の美白剤としての承認を得ました。

動物実験で肝がんを引き起こす可能性があることが分かり、一時期、医薬部外品(薬用化粧品)への使用が中止されたこともありましたが、追加試験では化粧品としての使用は安全性上問題がないことが証明され、現在では大手化粧品メーカーの美白美容液などに使用されています。

紫外線を浴びると活性化するメラノサイトに、コウジ酸は直に働きかけて効果を発揮するそうです。

③ 日本酒

酒造職人の長である杜氏(とうじ)や蔵人(くらびと)たちは、四六時中、麹やもろみに触れることで肌に透明感があったと言われています。

実際、日本酒にはポリフェノールの一種であるフェルラ酸が豊富に含まれており、抗菌・抗酸化作用、老化の原因となる活性酸素を取り除く働きをしてくれます。 シミやそばかすなどの色素沈着を抑える効果が期待できるのです。

さらに、日本酒はアミノ酸が豊富で、NMFと呼ばれる天然保湿因子や皮膚を健やかに保つビタミン、ミネラルなど100種類を超える美容成分も含んでいます。

基礎化粧品がなかった頃の女性は日本酒で肌を整えていたと言われており、今でも日本酒から化粧水を手作りしている人もいるようです。

④ 紫蘇(しそ)

しその葉や茎から抽出したしそ葉エキスには抗炎症作用や収斂(れん)作用があり、肌のキメを整えてくれることからクレンジング料や化粧水、美容液などに配合されています。

また、しそに含まれるβ-カロテンは体内に吸収されるとビタミンAになり、肌や粘膜を丈夫にしてくれることから、肌荒れだけでなく細菌やウイルスの侵入防止にもなり、感染症の予防対策にもなります。抗アレルギー作用も認められており、敏感肌用化粧品やエイジングケア化粧品に配合されることも。

しそエキスを使用した化粧水は日本国内でもそれほど流通しているわけではなく、海外でも米ぬかや日本酒配合のものほど知名度はありません。しかし、イギリスでは北海道産しそのエッセンシャルオイルや非日本製ではありますが青しそ発酵エキスを配合した保湿クリームなどが販売されていました。

しそはハーブの一種でもあるため、ハーブ大国イギリスでは受け入れられやすいかもしれません。

 

※ 収斂(れん)作用……タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用。 収斂作用によって肌が引き締まり、毛穴が目立たなくなる。

⑤ 蒟蒻(こんにゃく)

こんにゃくに含まれるグルコシルセラミド(こんにゃくセラミドとも呼ばれる)は肌の新陳代謝を活性化させ、シミやシワを予防し、アトピー性皮膚炎などの皮膚炎の症状を緩和してくれることで知られています。

このグルコシルセラミドは、元々人間の表皮の一番外側にある角質層の細胞間を満たす成分で、年齢とともに含有量が低くなることで水分量が不足して肌乾燥に繋がってしまうのです。そのため、こんにゃくを食べて補おうとする女性も多いようです。

また、グルコシルセラミドの主要構造、スフィンゴイド塩基は、他由来のものと比べて体内への吸収率が高いことが分かっており、全身のうるおいを保つ効果を発揮するとして美容サプリメントや飲料などにも使われています。

こんにゃくセラミドの驚くべき効能は皮膚バリア機能の形成や抗炎症、免疫機能だけではありません。アルツハイマー病発症の予防効果もあることが研究で証明されています。

日本のコスメ/化粧品は海外で人気

日本ではあまり目立っていないブランドの化粧品でも海外では販売されており、日本ならではの自然由来の素材を配合したものが多い印象です。日本ブランドに詳しくない海外の消費者にとっては、長期間安心して使い続けられる成分の化粧品かどうか、サステナブルであるかどうかが購入の判断基準になるため、本当に“いいもの”かが試される市場であると言えるでしょう。

 

 

▼弊社では海外進出のサポートなどを行っております。こちらからお気軽にご相談ください。

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出典:

https://www.hollywoodmirrors.co.uk/blogs/news/uk-beauty-industry-statistics

https://www.glamourmagazine.co.uk/gallery/japanese-beauty-products

https://sekaihonyaku.com/archives/6190

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