デザイン思考とは②「デザイン経営」宣言と5つのステップ

「デザイン思考」とは、問題解決から新しい価値の創造

デザイン思考についての前回の記事において、「デザイン思考」とは、デザイナーがデザイン(設計)を考案する際に使用しているプロセスを利用して、問題を解決していく思考のことであると述べました。その結果、かつてない発想が生み出され、イノベーションを起こせる可能性があり、多くの企業が製品開発などの過程でデザイン思考を導入しています。

今回の記事では、実践する際のプロセスの参考になる5つのステップなどをご紹介します。

 

 

▼デザイン思考とは?・起源・メリット&デメリットについてはこちら

デザイン思考とは①デザインは経営に必要?【簡単説明・メリット・欠点】

 

デザイン思考、日本では? ―特許庁の「デザイン経営」宣言

デザイン思考の起源となった探求や著書、ビジネスへの応用を始めた企業や講義で取り上げている大学などを見るとほとんどが欧米です。しかし、日本でも、政府が政策として推奨するほどデザインの考え方が重要視されています。

2018年に経済産業省と特許庁が発表した『「デザイン経営」宣言』は、デザインの考え方をビジネスに活用するための具体的な取り組みを示したもので、多くの企業が「デザイン思考」について知るきっかけとなったのではないでしょうか?

特許庁のホームページによると、

「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。その本質は、人(ユーザー)を中心に考えることで、根本的な課題を発見し、これまでの発想にとらわれない、それでいて実現可能な解決策を、柔軟に反復・改善を繰り返しながら生み出すことです。

とあります。つまり、デザイン思考によるイノベーションを通じ、企業の産業競争力を高め、国内産業における生産性を向上させることを目的としています。

 

デザイン思考のやり方 | スタンフォードの「5つのステップ」とは?

では、実際にビジネスに導入するには何をすればいいのでしょうか?スタンフォード大学のデザインスクールd.schoolは、以下の5つのステップを提唱しています。

当大学のホームページでは、個人のキャリアデザインを例に各ステップについて解説されていますが、ここではビジネスに置き換えて考えてみましょう。

Step1. 共感(Empathize)

既存の製品・サービスの課題を見つけるために、まずはユーザーを理解するところから始めます。彼らの行動の動機やニーズ、ライフスタイル、価値観などを観察・調査し、共感することを通して問題をより多く見つけ出します。共感はユーザーを理解するための努力であり、思い込みを取り除いた視点で物事を捉えることに繋がります。

 

Step2. 問題定義(Define)

前段階で収集し分析した情報をもとに問題を定義します。どんなに優れデザインでも、すべての人の問題を一度に解決することはできません。意味があり行動に繋がる問題点を正確に定めることがプロセス全体において重要な部分です。

 

Step3. 創造(Ideate)

「Ideate」とは、「観念化する」「想像する」という意味も。想像力を発揮して前段階で定義した問題の解決策となるアイデアをできるだけ多く出していきます。

1つの正解を出すのではなく、誰でも考えられそうなアイデアを超えて可能性を最大限に広げることが目的です。突飛なアイデアであっても、すべてのアイデアを実際に検討することで新鮮な頭で問題を捉えることができます。アイデアを出し合って議論するやり方には、集団で自由にアイデアを出し探求していく「ブレインストーミング」や身体を使って体験しながら考える「ボディストーミング」、頭の中を描き出す「マインドマップ」などの方法が使われているようです。

 

Step4. プロトタイプ(Prototype)

「プロトタイプ」とは簡潔には模型や試作品という意味です。問題に対する最善の解決策を決めるために低コストで簡単なプロトタイプをたくさん作り、ユーザー体験と照らし合わせてひとつひとつ検証します。

このステップにより、リスクを縮小し失敗への恐怖を排除することができます。

 

Step5. テスト(Test)

作成したプロトタイプをテストすることでユーザーからのフィードバックをもらい、解決策を改善する段階です。

テストの結果によってはプロトタイプを作り直す必要があったり、ユーザーへの理解がより深まることで再度「共感」からスタートする場合もあったりします。

 

重要なのは、この5段階のプロセスが直線的であるとは限らないということです。反復したり違うチームで同時進行したり、柔軟に活用できます。

各ステップはプロジェクトを達成するための異なる姿勢であり、問題への正解を見つけるのではなく画期的なアイデアを見つけるためのプロセスだと考えられます。

 

 

参考:Stanford University「5 Steps to Design Your Career Using Design Thinking」

 

デザイン思考のプロセス実践がヒット商品を生み出すことも

テクノロジーの進化で昔は考えられなかった製品が登場し、サービスの品質や顧客体験が向上。さらに価値観やライフスタイルが多様化した現代では、顧客満足度のハードルも高くなっていると思われます。そんな中、製品・サービスが抱える問題も簡単には解決できなくなっていると言えるでしょう。

しかし、デザイン思考によってアイデアを出し合うことで、正解は見つからなくともユーザーのインサイトを見つけイノベーションが生まれる可能性があります。あのAppleの「iPod」もデザイン思考から開発されたそうです。

製品・サービスをより良いものにするために、まずはユーザーに共感するところから始めてみませんか。

 

 

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