ハラルとは?外国人観光客が増加する今、知っておきたい食の多様性
多様性を認めることが重要視されてきた昨今、フードダイバーシティーという言葉も聞かれれるようになり、食に関する多様性が話題に上ることも多くなりました。
しかしながら、子どもの頃から「好き嫌いしてはいけない」「残さず食べなさい」と教育されてきた人が多い日本では、食べてはいけない食材があること自体が理解されにくい現状もあるようです。海外のクライアントを接待するために高級なレストランを予約した場合でも、ビーガンの人がいる場合、レストラン側のサービスが行き届かない例も少なくありません。
海外にはビーガンやベジタリアンの人も多いですが、おそらくそれ以上の人口を占めるのがハラルフードを食べているイスラム教徒です。イスラム教徒は世界の人口の約四分の一だとも言われています。
この記事では、まだ日本では馴染みのないハラルフードについて分かりやすく説明していきます。
▼ビーガンについては、こちらの記事をご覧ください。
ハラルの意味とは?
ハラル(またはハラール)とはアラビア語で「許された、合法な」という意味で、反対にハラー “ム”には「禁止された」という意味があります。したがってハラルフードとは、イスラム教徒(ムスリム)が口にしても問題のない食べ物のことです。
イスラム教には食以外にも様々な戒律があり、コーランにも書かれています。しかし、それら全てを覚えるのはイスラム教徒でない人にとって容易ではありません。ハラルフードに関して言うならば、食べて良い物より、食べてはいけない物を覚える方が簡単です。
ハラルフードではない食べ物とは?
イスラム教で口にすることを禁止されているのは、「豚肉」と「アルコール」です。
豚については特に厳しく禁じられており、肉だけではなく豚のエキスが入っている物や豚と接触した物も全て禁止です。豚の出汁の入ったスープなどはもちろんのこと、豚肉を原料としたサプリメントや薬なども口にすることが出来ません。厳密には豚肉を保管した冷蔵庫に入れた食材なども、ハラルフードではありません。
豚肉以外も注意!ハラルミート と殺&加工方法
豚以外の肉類にも注意が必要で、イスラム教徒は通常のスーパーなどに並んでいる肉類を口にすることは出来ません。屠畜(と畜・と殺)は動物が最も苦しまない方法で行わなければならず、気管・食道・頸動脈・頸静脈の4つが交わる箇所を一気に切るとされています。その後、血液を自然に落下させて可能な限り抜きとります。
また、食肉加工はイスラム教徒が行わなければならない決まりもあります。
ハラル認証やマークとは?
ハラル認証とは宗教と食品化学の2点から専門家がハラルであることを保証する制度で、1970年台にマレーシアで誕生したと言われています。単純に禁止された成分が含まれていないというだけではなく、製造環境・品質・プロセスを含む全てがイスラム法に則っているかが審査され、基準を全てクリアすると製品にハラルマークを付けることが許されます。
製品だけではなく、飲食店に対するハラル認証もあります。しかし、この認証を日本の一般的な飲食店が取得するのは大変難しいといえます。なぜならイスラム教徒のシェフがいる、提供する食材の全てがハラルである、アルコールを一切提供しないなどの規定があるからです。
また、認証機関は世界に200以上あると言われているため、よく選定した上で認証を受ける方が良いでしょう。
日本でハラルフレンドリーになるには
日本ではイスラム教徒でない人が大半なので、飲食店がハラルの対応をするのは大変難しいように思われます。
厳格なイスラム教徒は日本の一般的なレストランで食事すること自体を避けるでしょうが、イスラム教徒の人が来店した場合の対応としては、ビーガン向けの食事をアルコール抜きで提供するという策があるようです。
外国人観光客が徐々に戻ってきている現在の日本では、異なる食文化や趣向を持つ人達がいることを知っておく必要があります。ハラルもその中の一つなので、一度どのような対応をするか検討するのも悪くないでしょう。