LOHAS(ロハス)とSDGsの違いとは/意味を3分で解説
LOHAS(ロハス)とは?SDGsとの違い
SDGsは2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」ですが、それ以前からLOHAS(ロハス)という類似する言葉が存在しています。ロハスとは「Lifestyles of Health and Sustainability」の頭文字をとった略語で「健康的で持続可能な生活スタイル」と訳されます。したがってSDGsは目標を指しているのに対して、ロハスは生活スタイルを指しているという違いがあります。
▼SDGsに関してはこちらをご覧ください
LOHAS(ロハス)って何? 意味を詳しく解説
ロハスはいつ始まった?
ロハスとSDGsにはその言葉が生まれた背景にも違いがあります。SDGsは国連サミットによって生まれましたが、ロハスはマーケティング用語としてアメリカで生まれています。
1980年代からアメリカで15年間に渡って行われた大規模な調査では、消費者層が3つに分けられることが分かりました。1つ目は宗教的価値観を持つ層、2つ目は科学技術の発展を重視する層、3つ目はそのどちらにも当てはまらない「生活を創造する層」でした。この3つ目の層がロハスの前身だと考えられています。
ここからはロハス的な概念は1980年代から1990年代頃には既に存在していたことが分かります。
マーケティング用語としてのロハス
ロハスという言葉が作られたのはもう少し後になってからです。それは1999年にガイアム社が前出の「生活を創造する層」をロハス層と呼び、自社商品のターゲット層として捉えたことが始まりでした。ガイアム社はクリーンエネルギー関連機器やフィットネス・ヨガ関連商品を販売しており、メインターゲットがロハス層になると考えたのです。
民間の業者がマーケティングのために作り出した言葉という点においても、SDGsとロハスは大きく異なります。
ロハス層の消費者の特徴
ロハス層の特徴は俗に言うところの「意識の高い人たち」で、SDGsに関心のある層とほぼ一致します。具体的には下記のような特徴があります。
・環境問題や社会問題に関心がある
・心身ともに健康を目指している
・情報発信が好き
オーガニックの食材を好む習慣のある人、ヨガや瞑想に興味のある人、それらの情報を身近な人に教えたりSNSで発信したりする人などがロハス層に当てはまります。
ロハス層は拡大している?
ここ数年、日本ではSDGsという言葉を聞くことが多くなりましたが、アメリカではLOHASが定着しているようです。しかしマーケティング用語という印象が強く、一般の人が会話で使うことはあまりないようです。ロハス層に当てはまる人でさえ、自分たちがそう呼ばれていると知らないこともあるようです。反対に日本では三割程度の人がロハスという言葉を認知しており、言葉自体は本国と同じくらいかそれ以上も普及している可能性があります。
アメリカのロハス市場は拡大傾向にあり、2006年に約27兆円だった市場規模は2019年に約66兆円にまで成長しています。また、ロハス層の人口割合も約2割から約3割に増加しています。
ビジネスにロハスを取り入れるなら
ロハス層は環境や社会に配慮している商品や健康志向の商品を選ぶため、それをアピールすることは欠かせません。日本ではイオンが今年10月からレジ袋を紙袋に切り替えましたが、欧米では大半の大手企業が数年前から実施しており、今ではプラスチック袋を見る機会の方が少ないです。
企業のこのような行動は消費者から高い評価を得ますが、最近ではグリーンウォッシュやSDGsウォッシュという言葉も聞くようになりました。これは本当は環境や社会の問題にそれほど配慮していないのに、利益を得るためにそう見せかけている場合に使われる言葉です。
このような言葉で呼ばれないためには、企業側が正しい知識を身につけていくことが必要なのではないでしょうか。