プラスチック製は売れない?イギリスのパッケージトレンド2024

年々、地球にやさしいイノベーションが様々な市場に投入されるにつれ、顧客は自宅に届く商品のパッケージにおいてさえ、サステナブルであるかどうかチェックし、そうであることを期待しています。

パッケージも商品の一部であり、ブランドを表現する重要な役割を担っています。より優れた素材やデザインであるだけでなく、この時代に合ったパッケージで消費者の目を引くために、最近のトレンドを把握しておきませんか?

2023年のトレンドから来年も継続しそうなものを挙げてみましたので、2024年のパッケージづくりの参考にしてみてください。

 

【パッケージトレンド2024】5つのキーワードとは?

1.    サステナブルな素材

現在の消費者が製品を購入する際の関心事として「サステナブルであるかどうか」がまず挙げられるのは言うまでもありません。

日本では、紙製の箱の上からかけられた透明フィルムや、あられなどのズレ防止に敷いてある透明のトレイなどのように、未だに過剰な包装が目立ちます。衛生面や製品保護の面で考えれば、紙の箱を開けたらお菓子が裸のまま入っているという状況は、日本人にとってはやはり抵抗がある人が多いのでしょう。

しかし、イギリスでは大手百貨店の製品ですら、紙の箱を開けたら裸のチョコレート状態なものを販売しています。以前は紅茶の箱にかけられていた透明フィルムが消え、グリーティングカードも汚れや傷を恐れることなく透明パッケージなしで売られるようになっています。

英国消費者の64%がサステナブルなパッケージを提供する小売店から購入する可能性が高くなるというデータもあります。

サステナブル、あるいはリサイクル可能な最小限のパッケージであることが購入の判断材料とする消費者が増加している現在では、過剰な包装を控え、紙製または再生プラスチックや再利用可能な素材の使用が欠かせないと言えるでしょう。

 

2.    サステナブルである表示「FSC®認証」

上記のように、消費者はサステナブルな供給源から調達した製品・パッケージを購入したいと考えているため、そのことが分かるようにパッケージに表示する必要があります。

「FSC®認証」とは、ドイツに本部を置く国際的な非営利団体Forest Stewardship Council(森林管理協議会)が運営するもので、責任ある管理がなされた森林の木材からつくられた製品などに付けられるマークのことです。

ご存じの通り紙は木からつくられているため、紙袋や紙パック飲料の容器などにこのマークが見られます。

ブランドが環境に配慮し、持続可能性への取り組みに積極的であるという姿勢を示すために、国際的に権威のある認証を表示すれば、より説得力が増すでしょう。

3.    リターナブル包装 詰め替えor再利用が可能

持続可能性を高めて運営する約束をウェブサイト上で発信したり、ユニークな取り組みをはじめた大手ブランドが増えているため、今後もより多くの再利用システムが小売業界に登場することが予測されています。

「リターナブル包装」とは、使用後に回収・洗浄を行うことで再利用できる容器を指します。

このような使用された容器への詰め替えはすべての製品に利用できるキーワードではありませんが、化粧品やトイレタリーだけでなく、飲食料の分野でも行われつつあることは驚くべきことです。

例えば、コカ・コーラ(Coca-Cola)社は廃棄物ゼロの無駄のない世界を目指し、2030年までに全飲料の25%以上を詰め替え・デポジット可能なガラスやプラスチック製の容器で販売することを計画しています。

オンラインショッピングの人気が継続していることから、商品の交換・返品システムを利用してパッケージの返却も簡単にできるようにし、さらにデポジット制にすれば消費者に積極的な返却を促すことができるのではないでしょうか。

とは言っても、面倒に思う消費者が返却せずにゴミに出してしまう可能性も否めません。飲料ボトルで言えば、まずはホテル、レストラン、カフェへ提携ドリンクを販売する際にデポジット制で行うことからはじめてみても良いかもしれません。

 

▼シングルユースのボトルを失くした事例はこちらにも

グリーン・マーケティングとは?②ユニークなエコ活動のヒント〈海外事例〉

 

4.    ミニマリストなデザイン

「Less is more(少ないことはより豊かなこと)」。ドイツの建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ(Ludwig Mies van der Rohe)が遺したこの言葉は、「必要最低限のもの、つまりシンプルなデザインを追求することで美しく豊かな空間が生まれる」という意味で、建築だけでなくデザイン分野にも影響を与えたと言われています。「引き算の美学」と言えば分かりやすいでしょうか。パッケージに関しても、この考え方が元となる、よりクリーンで洗練された美学が主流となるでしょう。

また、ミニマリストデザインを採用することは、余分な材料や廃棄物を減らし、梱包コストを削減するだけでなく、透明性やシンプルさ、誠実さを消費者に想起させることができるというメリットもあります。

カラーにおいては、ビビットなものよりはエコが想起されるくすみを効かせたものやアースカラーの使用が人気なようです。

 

5.    インタラクティブなパッケージング

製品情報はQRコードなどで誘導しシンプルに

ミニマリストなデザインのように無駄を省いたアプローチでも、記憶に残る開封体験を提供することはできます。その方法はQRコードやNFCタグを利用することです。

特にQRコードはコロナ禍でその使用が世界中に定着したこともあり、パッケージへの使用もさらに多く見られると予想されています。法律がテクノロジーに追いつくにつれて(法律によってラベル表示しなければならないものもありますが)、多くの情報がパッケージから削除され、QRコードに置き換えられ、よりシンプルなものとなるでしょう。

この方法で、消費者に製品の詳細情報や使用方法、リサイクル方法などを伝えるだけでなく、パーソナライズされたメッセージや限定オファーなどを提供することもできます。エンゲージメント時間を大幅に延長し、ブランド認知を高め、企業との繋がりを強化することに繋がるでしょう。

 

プラスチックは使用しない方がいい?

このようにパッケージのトレンドを見てみると、サステナブルに繋がるキーワードがほとんどであることが分かります。このことからも、パッケージにプラスチックは使用せず、紙製などにチェンジした方がいいのでしょうか?

もし、紙製のパッケージでも問題ない製品の場合は、できるだけプラスチックを排除した方が良いでしょう。海外での営業においては、シングルユースのプラスチックを使用しているだけで取り合ってもらえないこともあり、製品自体が素晴らしいものでも、プラスチックフィルムがかけられているだけで現地販売の可能性がなくなってしまいます。

しかし、製品によってはプラスチックパッケージでなければ梱包不可能なものもあります。そのような場合は再生されたプラスチックの使用であればサステナブルなパッケージと言うことができます。

ただ、4月から施行されたプラスチック包装税制度(Plastic Packaging Tax)によって、製造するのに使われた再生プラスチックの使用量が30%未満のものに対しては税金が課されるため注意が必要です。

▼プラスチック包装税制度の詳細はこちら

プラスチック削減へ。イギリスの現状&海外のエコ対策事例

 

 

▼弊社では市場調査も行っております。ご質問などがございましたら、こちらからお気軽にご連絡ください。

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