インバウンド対策【宗教別 食べてはいけないもの】まとめ
2024年3月の訪日外客数は3,081,600人となり、2023年同月比では69.5%増、2019年同月比では11.6%増となりました。コロナ前の水準を超えただけでなく、単月として初めて300万人を越えて過去最高を更新しました。3月の場合は桜の開花やイースター休暇が後押ししたことは確かですが、今後も訪日外客数は高いままで維持されそうです。
訪日外国人観光客が多いとなかなか細かいことまで気が回らないかもしれませんが、海外の人は日本人とは異なる文化や習慣を持っており、それに合わせたサービスが必要になります。旅行の楽しみの一つといえば食です。そこでこの記事では世界の宗教における、食のルールをまとめます。
世界の宗教 概要&食べてはいけないもの まとめ
イスラム教
全世界で約20憶人、人口の約4分の1を占めると言われるイスラム教徒。その約半数が日本から遠くないアジア諸国で暮しています。イスラム教徒(ムスリム)が食べても良いものは「ハラルフード」と呼ばれ、聖典であるコーランにも記されています。
イスラム教でまず、絶対に禁止されているのが「豚」です。豚に関しては見るのも不快だ感じるイスラム教徒も多いようです。そのため、豚肉を調理した器具や豚肉が入っていた冷蔵庫さえも本来なら許されませんが、海外旅行の際だけは本当は嫌だが仕方がないと考える人が多いようです。豚が使われている出汁、ゼラチン、ラード、調味料なども禁じられているため、注意が必要です。
血液を口にすることも禁止なので、他の肉類に関しても宗教上のルールに準じて適切な処理をされている必要があります。特に肉類に関しては「ハラルフード」の認証があるものを用意できると良いですが、調達が難しい場合は魚などベジタリアン向けの食事を提供するのが無難です。他にはアルコール類も禁止されています。
↓詳しくはこちらの記事もご覧ください。
ハラルとは?外国人観光客が増加する今、知っておきたい食の多様性
ユダヤ教
ユダヤ教を信仰する人とその子孫をユダヤ人と呼びますが、その定義は複雑なようです。信者はイスラエル、欧米、ロシアなど世界の様々な国にまたがって暮らしています。ユダヤ教には「カシュルート」と呼ばれる食事規定があり、食べて良いものとそうでないもものが厳格に区別されています。食べて良いものを「コーシャフード」と呼びます。
ユダヤ教でもイスラム教と同様に、豚や適切に処理されていない肉類が禁止されています。その他にも、肉類と乳製品の組み合わせ、イカ、タコ、エビ、カニ、貝類も禁止されています。イスラム教と同様にこれらが使われている出汁、ゼラチン、ラード、調味料なども禁止されているので、注意が必要です。
ヒンドゥー教
インドとネパールを中心に10憶人近い信者がいると言われているヒンドゥー教。インドでは人口の約40%がベジタリアンで、この背景にはヒンドゥー教の「無害な生き物を傷つけてはいけない」という考え方があります。インドではカーストによっても食べて良いものが異なり、意外ですが上位ほど食べ物に関する規律が厳しくなっています。
肉類を食べても良いヒンドゥー教徒であっても、鶏肉、羊肉、ヤギ肉以外は口にしません。豚は不浄な動物であり、反対に牛は神聖な動物と考えられているからです。
さらに厳格なヒンドゥー教徒は五葷(ごくん:ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツ キ)も避けています。
ジャイナ教
ジャイナ教はインドに約420万人の信者がいますが、他の地域にはほとんどいないと言われています。しかし経済的な影響力を持つ人が多く、気軽に海外旅行に出かけるような富裕層も多いと考えれらます。
食べ物に関する禁止事項はヒンドゥー教と酷似しています。そのため、豆類や野菜を中心にした食事をしている人が多いのも特徴です。
仏教
日本で最も馴染みのある宗教で世界三大宗教の一つである仏教ですが、信者の人口は世界で約5億人とヒンドゥー教よりも少ないです。それでも世界三大宗教と呼ばれる所以は、ヒンドゥー教よりも広い地域に分布しているからです。具体的には日本以外に、中国、韓国、タイ、ベトナム、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなどのアジア諸国です。
他の国の仏教徒も日本と同様に、食べ物に関する禁止事項を守っているのは僧侶や一部の信者のみです。厳格な仏教徒は肉類やヒンドゥー教と同様の五葷を避けます。
キリスト教
世界の人口の約3割以上を占め、欧米を中心に約24憶人の信者を持つキリスト教。日本には人口の約0.8%しかいませんが、同じアジアでもフィリピンは人口の9割以上、韓国は約3割います。
そのようなキリスト教ですが、基本的に食に関しては禁止事項がほとんどありません。例外的にモルモン教など禁止事項のある宗派もありますが、大変少数です。
訪日旅行を良い思い出に
食べ物が合わなかったり、食のせいでトラブルになったりすると、せっかくの旅行が嫌な思い出になってしまいます。馴染みのない宗教の人に合わせて食事を用意するのは大変ですが、おもてなしの一つと考えて、基本的な知識だけでも押さえておいてはいかがでしょうか。