【フードテック事例】日本・海外企業の新技術!食品市場の革命

前回の記事「フードテックとは?メリットや市場規模を解説」で取り上げた「フードテック」は、最新のテクノロジーを使って食における問題を解決したり、新しい可能性を広げたりすることを目的としています。

食のテクノロジーと言うと、人間の代わりに調理をするロボットや食品ロス(フードロス)を削減するためのAIによる需要予測などが浮かびますが、他にも人工肉、細胞培養、植物工場、陸上養殖、新しい食材の開発など、実に様々な分野で活用され得る技術です。

例えば、「ソイミートもサステナブルフード?英国で人気の代替食品と市場の現状」でご紹介したような代替肉もフードテックによって生まれたものです。

では、具体的にどのようなものがあるのか、日本国内や海外企業のフードテック事例を実際に見てみましょう。

 

フードテック事例 日本・海外企業等の最新技術に注目!

アレフ・ファームズ(イスラエル)の培養牛肉

イスラエルの培養肉企業アレフ・ファームズ(Aleph Farms)は、昨年末、培養牛ステーキ肉「アレフ・カット(Aleph Cuts)」の安全性認可を取得しました。これまで培養肉メーカーと言えば、アメリカとシンガポールで認可を取得した米企業グッド・ミート(GOOD Meat)と、同じく米企業のアップサイド・フーズ(Upside Foods)の2社のみでした。しかも、両社は鶏肉であり、牛肉の培養肉開発ではアレフ・ファームズが初となります。同社は、今年9月にミシュランシェフエヤル・シャニ(Eyal Shani)との提携を発表し、アレフ・カットのレストランにおける提供準備が進められています。

この培養牛ステーキ肉「アレフ・カット」は、ウシ胚性幹細胞、大豆と小麦を使用した植物タンパク質からできており、細胞に遺伝子組み換えや不死化処理は施しておらず、生産プロセスでは動物由来成分や抗生物質は使用されていないそうです。

大豆ミートなどの植物性たんぱく質による肉と違い、動物を犠牲にすることなく肉そのものを食すことができるという驚くべき技術です。

株式会社グリラス(日本)のコオロギ粉末を使用した食品

2020年、コオロギの養殖・加工を行う徳島大学発スタートアップ企業のグリラスと良品計画が共同開発した無印良品の「コオロギせんべい」が話題になりました。

残念ながら昨年11月に破産してしまいましたが、当時はコオロギパウダー原料の生産が追いつかないほど売り上げが伸び、2023年末には6倍に当たる60トンの生産体制で対応。自社ブランド商品としてクッキーやクランチチョコ、レトルトカレーなども開発し、自社ECサイトで販売していました。

破産原因は、徳島県内の高校がコオロギ粉末を給食に使ったことをきっかけに、SNS上で昆虫食への批判的な意見が広がったことだとされています。

グリラスの養殖コオロギは殺菌加工がされており、食品としての安全性があることを自社ウェブサイトでも明確に説明されていましたが、すべての消費者から虫を食べることへの恐怖や抵抗感を拭うことはできなかったようです。

しかし、国連食糧産業機関(FAO)が2050年頃に世界は深刻な食糧難になると指摘しており、世界的には昆虫食が注目されています。カタルーニャ高等大学(UOC)の1,000人以上を対象としたアンケート調査によると、58%の人々が「昆虫は将来的に持続可能なタンパク源になる可能性があり、食生活の一部になる可能性は十分にあると考えている」ことが分かっています。

食糧に困っているわけではない今の日本の消費者には受け入れられなかったとしても、世界規模で見ると将来的に可能性のある市場と言えるでしょう。

特にコオロギは海老に近い旨味があり、たんぱく質、ミネラル、ビタミン類が豊富なだけでなく、家畜と比べて飼育時の温室効果ガス排出量が少ないというメリットがあります。

③ 岡山理科大学(日本)の魚がよく育つ好適環境水

岡山理科大学における実験で生まれたこの好適環境水とは、水産生物の陸上養殖を可能にする人工飼育水のことで、淡水魚や海水魚を同じ水槽で飼育することができる水です。海水での養殖と比べて代謝が良く魚の成長が早いこと、寄生虫や魚病などのリスクがないため抗生物質やワクチンが不要というメリットがあります。

当初は魚を生育した後の水が下水道に流せないことが判明しましたが、魚の排泄物に含まれる有害物質を微生物に分解させ、その養分で野菜を育てる技術が開発され、現在では水を替えることがほとんど不要になっています。

水を植物の生育で浄化して循環利用するため、排水の必要がありません。

つまり、魚を育てながらその水で野菜を栽培し、野菜の生育で浄化した水をまた魚の生育にしようするという循環システムであり、持続可能な農業を実現します。

魚の陸上養殖は、海から離れた土地などにおいても常に新鮮な魚を食べることができ、同時に野菜も得られるという豊かな食生活を私たちにもたらしてくれることでしょう。

SDGs達成に繋がるフードテック。革命のヒントが展示会に?

食糧危機の解決や食品ロス削減など、SDGs(持続可能な開発目標)の幾つかを達成することで重要視されているフードテック。この食とテクノロジーを起点とした新ビジネスは、食品メーカーや外食産業だけでなく、小売り、家電、ITなどのあらゆる業界を巻き込んで、益々巨大化していくことは間違いないでしょう。

先月開催された「第5回フードテックWeek東京」のようなフードテックに特化した展示会も開催されています。フードテック市場への参入を考えている方は参加してみると何かヒントを掴めるかもしれません。

 

 

▼弊社へのご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください

Pointblank Promotions お問い合わせ

 

 

出典: https://www.uoc.edu/en/news/2023/009-insects-consumption-nutrition

Previous
Previous

アメリカが日本を植民地にしなかった理由【幕末編】ペリーとハリスの目的

Next
Next

フードテックとは?メリットや市場規模を解説