デジタル広告の歴史は終わりつつある?費用を削減するべきか

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 以前の記事( デジタル化が進む社会。企業が乗り遅れないためには )では、デジタルを利用していくことが、様々なビジネスにおいて必要であり、ニーズも高まっているという現状をお伝えしました。しかし、その側面ではデジタル広告を使った詐欺などが起こり、それなのに主なデジタル広告の配給元となるGoogleやFacebookが、広告主に情報を十分に開示していないという現状も問題視されています。以前の記事を参照→( 広告詐欺の責任は誰が追う?プライバシー保護は言い訳にならない )それでも企業がデジタル広告にかける費用は、年々増加傾向にあります。IPAによる最新の四半期の調査では、第2四半期にデジタル広告予算の総額が、過去10年間で最大の伸びを示したという結果が報告されており、Ad AssociationとWarcの四半期レポートでは、デジタル成長が継続されていることが明らかになりました。6月30日に終了した3ヶ月間のFacebookの結果は、測定誤差が10回あったにもかかわらず、広告収入は前年比47%増の92億ドルでした。ここからは、「デジタル広告を使わなければならない」という強迫観念すらも感じ取れます。

広告費を削減した最初の企業は?

P&Gは広告費の削減を既に始めています。これは、信ぴょう性の低いメディアにブランドの広告が表示され、ブランドの信ぴょう性が下がってしまうことを懸念したことによる決定だと言っても過言ではありません。「私たちは明らかに、人ではなくボットにクリックされたり、不適切な場所に表示されてたりする広告に、費用を費やすべきではありません」デジタル広告を使わなければ時代に取り残されてしまうというのは、神話のようになりつつあるのかもしれません。

ただし単純に削減するのではない

P&Gはこのようにも述べています。「メディアパートナーと協力しているのは、ブランドを構築するのに役立つ効率的なサプライチェーンを創り出すためです。それができれば、もっと投資したいと思っています」価値の高いメディアならば、そこに表示される広告も価値の高いものであると、顧客は判断しやすい傾向にあります。したがって、広告主がそのようなメディアパートナーと組み、ブランド構築や広告の効果を得るために予算を費やすのは合理的であると言えます。闇雲にデジタル広告の予算を費やす時代には、そろそろ陰りが見えてきそうです。

デジタルへの過剰投資が収まれば……

WPPのマーティン・ソレル氏は、視認性、広告詐欺、測定の問題から、今後数年間でデジタル広告費への投資の伸びが低下すると予想しています。WPPは世界最大の広告代理店であり、マーティン・ソレル氏は、GoogleやFacebookを相手に視認性の向上を訴える運動の先頭に立っている人物でもあります。デジタル広告への過剰投資が収まれば、GoogleやFacebookの広告による収益も減少傾向になり、視認性や情報の公開が余儀なくされる、そんな日も今後数年間に訪れるのかもしれません。

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