音声マーケティングとは②音声広告&音声コンテンツ【事例紹介】

マーケティング分野のトレンド「音声SNS」について、前回はどのようなプラットフォームがあるのかを主にご紹介しました。

Clubhouse(クラブハウス)が登場し音声配信プラットフォームが急速に普及したのは、人々がコロナ禍による孤独と孤立を経験、「ZOOM(ズーム)疲労」が蔓延している中、新しいかたちでの個人的繋がりを切望していた時期でした。ながら聴きができるこの新しいエンターテイメントは見る見るうちに様々なプラットフォームでユーザー数を増やし、ブランド・アウェアネスを強化する場として多くの企業が注目しています。

Statista(スタティスタ)によると、イギリスのデジタル音声広告セグメントの広告費は、2022年の1億9,230万米ドルから年間成長率(CAGR)9.50%で2027年までに3億270万米ドルに、リスナーの数は4,530万人に達すると予想されています。

イギリスでも、ますます多くの企業が音声アプリ・SNSを利用したマーケティングに費用をかけはじめているようです。

実際にどのような方法があるのか、事例とともにご紹介します。

 

 

▼音声マーケティングに関する前回の記事はこちら

音声マーケティングとは①音声アプリの種類&おすすめ音声SNS

 

音声マーケティング4つの実践方法。その効果は?

  1. 音声広告を配信する

    音声広告とは、ラジオ放送やインターネットラジオ、Spotify(スポティファイ)のような音楽配信サービスなどで流れる、音声からなる広告のこと。番組の合間に15〜60秒程度の尺で配信することができます。

    ラジオ放送と違いインターネットで配信される音声メディアへの音声広告は「デジタル音声広告」と呼ばれており、他のインターネット広告と同様にユーザー属性によるターゲティング位置情報を活用したエリアごとのターゲティングが可能です。エリアターゲティングでは、位置情報に即した配信で直接的な来店効果が期待できます。

    また、ユーザーの質問に合わせてさらに詳しい提案ができる対話形式の広告「インタラクティブ(対話形式の)音声広告」も展開されつつあり、将来はスマートスピーカーなどから音声で商品を注文することも可能になると言われています。

  2. 音声コンテンツを制作・配信する

    音声コンテンツとは、音声を使用して発信するメディアを指します。音声アプリなどを利用して一から音声コンテンツを制作する、あるいは元々アップしていた動画やブログなどを音声コンテンツ化する方法が考えられます。

    コンテンツの配信が自社・ブランドの認知拡大に繋がるだけでなく、広告収入やリスナーからの投げ銭や課金によって収益化も可能です。顔出しの必要がないためインタビュー動画なども制作しやすいのではないでしょうか。

    イギリスでも多くのブランドが音声コンテンツ制作に注目しており、特にファッションや美容の小売業者が、メディアを介した単なる広告ではなく独自のポッドキャストを作成することを選択しています。

  3. 音声活用で顧客体験(CX、カスタマーエクスペリエンス)を向上させる

    顧客体験を向上させる音声活用の例として、音声認証技術やボイスボット、スマートスピーカーなどを利用したサービスが挙げられます。

    ボイスボットとは人工知能(AI)技術を利用した音声会話プログラムサービスです。例えば、オペレータを介さず24時間応答できるサービスを提供するために、カスタマーセンターにおける電話応対業務などで活用されています。

    世界の音声認証市場規模は、2020年の107億米ドルから2026年までに271.6億米ドルに成長すると予測されており(2021年から2026年までの推定CAGRは16.8%)、さらに多くの企業がこの技術を取り入れてサービスを向上させていくと思われます。

     

    ※     顧客体験=企業と顧客の一連の交流の結果、顧客が得る認識

  4. ソニック・ブランディング(Sonic branding)を行う

    ソニック・ブランディングとは、聴覚要素を使用して製品・サービスをブランディングする方法を指します。わかりやすく言うと音のみでブランドを想起させる手法です。 ビジュアルでのブランディングや音声広告・コンテンツは展開国によってローカライズする必要がありますが、音声ロゴのようなサウンドのみの場合は国境を越えても大抵の場合そのまま使用できる点で手軽です。

    ソニック・ブランディングのさらなる詳細や音声ロゴの事例については再来週の記事でご紹介します。

    以上のように、細かなターゲティングができる音声広告やブランド・製品の認知拡大に繋がる音声コンテンツなど、音声マーケティングは効果の期待できるマーケティング方法と言えます。

音声広告や音声コンテンツの具体例は?音声マーケティングの事例紹介

音声広告の事例|携帯電話会社O2のオーディオアド

イギリスの大手携帯電話会社O2(オーツー)が2018年頃配信していたファミリープラン“O2 Family”を勧める音声広告(オーディオアド)は、「共感」を示すことで消費者の心を掴む優れた広告の例です。

「子育ては疑問だらけ」から始まり様々な人の声で質問「Is it alright to○○?(これって大丈夫?)」が飛び交い、最終的に「分かります!だからO2 Familyを立ち上げました。エキスパートアドバイス、オファー、貯蓄、安全ツールをすべて1か所に。」と、家族向けのツールとサービスをまとめた独自のパッケージO2 Familyを答えとして位置付けています。

記憶に残るフレーズとともに最も伝えたいメッセージとそのサービスのメリットが明確に伝わるように制作されています。売り手ではなく買い手に関する内容で、製品を一方的に売るのではなく買い手の問題を解決しようとする姿勢から入っているところに顧客中心主義への意識も感じられます。

当時、ツイッター上では#IsItAlrightが拡散されていました。当プランについてではなく使用された質問内容についての意見やパロディがほとんどでしたが、いい宣伝になったのではないでしょうか。

音声コンテンツの事例|アパレルPretty Little Thing、百貨店Harrodsのポッドキャスト

Pretty Little Thing(プリティー・リトル・シング)はイギリスのファッション小売業者。2012年に設立されてから僅か7年でイギリス最大のオンサインストアの1つに成長(ウェブサイトまたはアプリケーションへの 1日のアクセス数が最大600万)したことからマーケターに注目されている企業の1つです。

当社のポッドキャスト「Behind Closed Doors(秘密)」は、リースされるやいなやイギリスのポッドキャストチャートで1位になりました。このポッドキャストはコアオーディエンスである16歳から34歳までの女性の興味に合わせ、フェミニズム、ソーシャル メディア、キャリアなどのテーマを中心としたエピソードから成り、関連性のある著名なインフルエンサーや有名人へのインタビューも含まれています。

また、イギリスの老舗百貨店Harrods(ハロッズ)のポッドキャスト「True Tales of Luxury(ラグジュアリーについての真の物語)」では、クリエイティブ業界の人々に、インタビューを通して個人的な物語や経験を共有してもらっており、彼らにとってラグジュアリーが何を意味するかについての洞察を得られるような内容になっています。

ポッドキャストエピソードの平均の長さは50分。ブランドに通常関連するテーマやトピックを消費者に深く理解させるような内容が多いようです。

 

音声認識サービス事例|SHISEIDOのAI音声

2022年10月、SHISEIDOは「LEAH(リア)」の音声をスウェーデンのReadSpeaker(リードスピーカー)の音声合成で実現することを発表。LEAHはインテリジェント・ビューティー・パートナーと呼ばれるAIで、ユーザーの美にまつわる体験をサポートする役目を担っています。

経年や環境の変化に影響される人間の声と違い、AI音声は変らぬ個性のまま安定した声を提供でき、改良や更新のコスト削減にもなることから採用されたとのこと。ReadSpeakerの音声合成ソフトを使用すれば、いつでも必要な時に音声メッセージの作成や編集が可能になり、サービスの向上に繋がります。

 

ブランド認知は音声の方が効果的?

Spotifyがアメリカの大手リサーチ会社Nielsen(ニールセン)に依頼した脳波測定調査において、「ブランド名の認知には、動画よりもストレートに伝えられる音声の方が効果的」という傾向が見られたそうです。

また、同社の音声広告は再生開始後のスキップができない使用のため完全視聴率が93%と言われており、音声広告画面にクリック可能なバナーが表示されて外部サイトへの誘導も可能になっています。

このような仕組みは音声広告を配信するプラットフォームにもよりますが、動画ばかりでなく音声を使用したマーケティングも効果があることが分かります。

弊社では、ローカルなユーザーに響くブランディングなどのサービスをご提供しております。ご興味がおありの方は下記「お問い合わせ」よりご相談ください。

再来週の記事ではソニック・ブランディングの事例についてご紹介します。

▼弊社へのご質問はこちらからお気軽にご連絡ください。

Pointblank Promotions お問い合わせ

 

出典:

Statista「Digital Audio Advertising - United Kingdom」

Statista「Voice recognition market size worldwide in 2020 and 2026」

Socially Powerful「How Pretty Little Thing Have Mastered Social Media Marketing」

Spotify Advertising「デジタル音声広告って何?Spotifyの音声広告「きほんのき」」

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