音声マーケティングとは④ソニック・ブランディング【イギリス・海外企業ランキング】

音声を使い聴覚に訴求する音声マーケティング。3回に渡り、海外でおすすめの音声SNSや音声広告・ロゴの事例をご紹介してきました。

最終となる今回は、前回ご紹介したソニック・ブランディングで効果的なアイデンティティを持つイギリス企業のランキングについてまとめました。

 

 

▼音声マーケティングに関するこれまでの記事はこちら

音声マーケティングとは①音声アプリの種類&おすすめ音声SNS

音声マーケティングとは②音声広告&音声コンテンツ【事例紹介】

音声マーケティングとは③ソニック・ブランディングって?【音声ロゴ事例】

 

 

聴覚を意識したソニック・ブランディングで記憶に残るブランドに

マーケターにマーケティングコースを提供するMini MBAの創設者Mark Ritson(マーク・リットソン)は、「ブランドに特徴を持たせるには“ロゴ プラス 3”である」と述べています。その3つとは、「カラー」「キャラクター」「サウンドアイデンティティ」です。

ブランドの独自性を構築するためには、視覚のみならず聴覚など5感すべてに訴えるような設計が必要だと言われています。その中でも、現在特に注目されているのが聴覚要素を使用したマーケティングです。ロゴプラス3のうちの「サウンドアイデンティティ」もその1つであり、ソニック・ブランディングによってもたらされる効果です。

例えば、何十年も前によく聴いていた曲を偶々聴いたとき、その当時の自分の状況や感情、思い出がふと蘇ってきたという経験はありませんか?ある場所で特定の曲を聴き続けた場合、その曲を聴くことでその場所を思い出すこともあります。

匂いについても同じです。マルセル・プルーストの小説『失われた時を求めて』における描写に因んで「プルースト効果」と呼ばれていますが、特定の香りを嗅ぐことで、その香りに結びついている記憶が蘇ることがあります。

このように、聴覚や嗅覚は視覚以上に無意識的でありながら、強力に人の記憶と結びついていると言えます。視覚要素はマーケティングにおいて最も重要視される要素ですが、ブランドを際立たせ、人々の記憶に強力に訴えかける点で最も有力とは言い切れない場合もあるということです。

 

イギリスには、ブランドをできるだけ迅速、かつ頻繁に思い浮かべてもらうために、ビジュアルアセットだけでなく聴覚を意識したマーケティングに力を入れている企業が多く存在します。

具体例として、ソニック・ブランディングに成功している企業をご紹介します。

 

ソニック・ブランディング事例【イギリス・海外企業ランキングTOP5】

マーケティングに関するニュースなどを提供する英企業Marketing Week(マーケティング・ウィーク)において、Ritsonの調査によるランキングが発表されています。彼はイギリスに市場を持つ80のブランドを調査し、4つのスコアに基づいて最も効果的な音響アイデンティティを持つトップ10のブランドリストを作成。そのうちの上位5つを取り上げてみました。

4つのスコアとは、「Appeal(訴求力)」「Personality(個性)」「Value(価値)」「Salience(突出性)」です。

 

※    設立がイギリスでない企業も含まれます。

 

1.      Just Eat(ジャスト・イート) 総合スコア:81%

訴求力:82% 個性:79% 価値:78% 突出性:86%

2005年、デンマークから英国に拠点を移したオンライン食品注文および配送会社。Katy Perry(ケイティー・ペリー)がテレビCMで歌う “Did Somebody Say Just Eat”というフレーズで有名です。キャンペーン毎に何年にも渡り、メロディーの微調整が行われてきたそうです。

 

▼視聴はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=qQGwQFpby0k

 

2.     Intel(インテル) 総合スコア:76%

訴求力:80% 個性:80% 価値:75% 突出性:76%

米国カリフォルニア州に本社を置く世界最大手の中央処理装置および半導体素子のメーカー。正式名称はインテルコーポレーションですが、ロゴにもあるようにインテルとして周知されています。当社の音声ロゴについてはこちらの記事で触れています。

音声マーケティングとは③ソニック・ブランディングって?【音声ロゴ事例】

 

▼視聴はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=-ihRPi4wcBY

 

3.      Moonpig(ムーンピッグ) 総合スコア:75%

訴求力:78% 個性:77% 価値:64% 突出性:82%

当社は、ロンドンとガーンジー島に本社を置くインターネットベースの企業であり、主にパーソナライズされたグリーティングカードや花、ギフトの販売を行っています。どのバージョンのテレビCMも“Moonpig.com”とゆったりしたリズムの音声で終わります。この音声が口笛の音のみで流れるCMもありますが、社名まで聞こえてきてしまうほど自然と記憶に残るメロディです。

 

▼視聴はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=X-31VDUKL4s

 

4.      Netflix(ネットフリックス) 総合スコア:71%

訴求力:85% 個性:64% 価値:51% 突出性:83%

米国カリフォルニア州発、配信登録制のストリーミングサービスを提供する企業。動画が始まる前にロゴとともに低音の太鼓のような音がします。これを聞くたびにいよいよ動画が始まるというわくわくする気持ちが湧き起こるという方も多いのでは?

 

▼視聴はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=GV3HUDMQ-F8

 

5.      We Buy Any Car (ウィー・バイ・エニイ・カー) 総合スコア:70%

訴求力:76% 個性:73% 価値:72% 突出性:60%

当社は英国最大の自動車購入サービスを提供。2022-23年のテレビCMは“Just Sold My Car”と突然踊り出すスタイルで数人のバージョンがあります。軽快なダンスとともに印象に残るメロディです。

 

▼視聴はこちら

https://www.youtube.com/watch?v=yUEY-7gcj_8&t=24s

 

 

出典:

Marketing Week「Ritson on the UK’s top 10 sonic brands」

Creative Review「DID SOMEBODY SAY JUST EAT?」

 

ブランドを迅速かつ頻繁に思い浮かべてもらうために

Just EatやIntel、Moonpigは、ソニック・ブランディングに関する記事で常に高い評価がなされており、他企業が今後参考にしていく可能性のある中で、ますます多くの企業が音声の使用について戦略的になっていくと予想されます。

無意識ながら最も記憶に残り、パワフルで効果的な音のブランディング。Creative Review記事内の言葉を借りれば、「ブランドの夢であり消費者の悪夢でもあるイヤーワーム」を起こすようなソニック・ブランディングを考えてみませんか。

 

 

 

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