返品率を下げるには?イギリス小売業者の対策 海外の返品事情③

海外の返品事情に関する記事で、海外では寛容な返品ルールを設けている小売業者が多いこと、そのために返品や返品詐欺が増加しており、小売業者は対策を迫られていることをお伝えしました。

最終となる今回は、返品にかかるコスト削減のために返品率を下げるにはどのような方法があるのかを、イギリスのオンライン消費者に関するデータとともにご紹介します。

 


▼これまでの記事はこちら

Amazonのように「着払い返品」が当たり前?海外の返品事情①

嘘をついて返品する人が増加?返品詐欺とその対策 海外の返品事情②


オンライン返品にかかるコストは配送料だけじゃない

オンライン小売業者にとって、返品は売上の損失です。さらに、商品が再販売されるまでにかかるコストが余分にかかることも忘れてはいけません。

イギリスの小売業者は消費者の返品により年間£600億という驚異的な損失を被っており、特にオンラインストアが影響を受けていると推定されています。

オンラインでの返品は、店舗での返品に比べて£3高く、商品の返品には配送料の2倍の費用がかかる可能性があるというデータもあります。配送料だけでなく、倉庫保管や再梱包などにかかるコストも含めると、小売業者が負担しなければならない1返品当たりの平均返品コストは£20にもなるのです。これはサプライチェーンコストの約10%を占めていると言われています。

そのため、イギリスの小売業者の中には、オンライン返品手数料を導入しはじめているところもあります。

 

無料返品をやめることは解決にならない?

無料返品でないならオンライン購入をやめる人も

「顧客都合による返品」にかかる送料や手数料を小売業者負担にしなければ損失は抑えられます。しかし、消費者はオンライン購入をし続けるかと言えばそうでもなさそうです。

CBRE UKの調査によると、イギリス消費者の半数以上 (57%) が、無料でない場合はオンラインでの買い物を継続しないと述べています。さらに、オンライン愛好家(コロナ以前よりもオンライン購入が増え、今後もオンラインで買い物をするだろうと答え、店舗に行く頻度が減った人々)の間では、この割合はもっと高く、67%が無料返品を提供しないお店では買い物をしないと述べています。

年齢別のデータでは、「無料返品でないならオンライン購入をするつもりはない」と答えたミレニアル世代は67%、Z世代は50%、団塊世代は52%でした。どの世代もおよそ半数以上の人々が無料でない返品を望んでいないようです。

実際、送料などを払って返品するくらいなら店舗で返品するという傾向が強まっており、調査回答者の48%が店舗での返品を希望していると回答しています。

ただし、「毎週またはそれ以上の頻度でオンラインショッピングを行う人」の48%は、無料返品が提供されない場合、商品の返品に年間£20の手数料を払っても構わないと考えていることも分かっており、オンライン購入をする頻度によっても考え方が違うようです。

この頻繁にオンラインショッピングを行う人が常に同じショップで購入しているとは限りませんが、無料返品を提供しない小売業者の中には、年間、規定の金額を支払うと毎回の送料および返品送料が無料になるという”ポストパス”を始めたところもあります。

 無料返品は顧客ロイヤルティ向上に繋がる

以上のことから、頻繁にオンライン購入をする人の一部を除けば無料返品を求める人が多く、返品にかかるコストを削減するために無料返品をやめればそのような人々は離れていくことが予想されます。

返品コストを負担することが顧客ロイヤルティを構築し将来の購入を促進する機会に繋がると考えれば、全くの損失と言い切れない場合もあり、どうすることが自社にとって本当の利益になるかを見極める必要があります。


返品率を下げる方法 イギリス小売業者の対策は?

では、返品にかかるコストについて悩む前に、ます返品を出さないようにするにはどうしたらいいでしょうか?以下、イギリスの小売業者が行っている返品率を下げるための対策をまとめてみました。

 

  • 商品に不備がない場合は返品不可とし、別の商品との交換のみ可能にする

  • 返金ではなくポイントとして商品代金を返し、他の商品の購入を促す

  • どの店舗でも返品可能にして店頭での返品を促す
    85%の消費者が店舗での返品のついでに新たな購入をするデータもあり

  • より良い商品イメージを提供する
    特にアパレルの場合、360度画像やモデル着用動画を掲載する

  • より明確なサイズを表示する
    あるアパレルブランドでは、簡単なアンケートに答えることで顧客に適したサイズを表示するAIを添付している

  • 返品による環境への影響を考慮するよう奨励する
    サステナブルな取り組みに熱心なブランドを利用したいという消費者が増加していることから、返品商品の配送がもたらす二酸化炭素排出量などについて解説する

 

Statistaの「2024年3月時点でイギリスで最も返品されたオンライン購入のカテゴリ別」によると、洋服28%、靴15%、アクセサリー9%(家庭用電化製品、食料&飲料と同率)の順に多く、アパレル関連用品の返品がやはり多いことが窺えます。返品率を少しでも下げたいと考えているアパレルオンライン小売業者の方は、上記の対策を検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

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出典:

https://orderwise.co.uk/en/blog/returns-and-ecommerce-five-facts-and-figures-for-2023

https://www.cbre.co.uk/insights/local-response/the-end-of-free-returns-will-consumers-continue-to-spend-online

https://www.statista.com/forecasts/997848/most-returned-online-purchases-by-category-in-the-uk

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