スーパーマーケット人気ランキング2025 イギリス大手の特徴
ビジネス、留学、観光……イギリスに滞在する目的は何にせよ、食料や日用品を調達するために誰もが訪れると言っても過言ではないスーパーマーケット。
さらに、大手スーパーマーケットには、醤油や豆腐、乾麺、カレールーなどの日本食材コーナーや、テイクアウェイ用の寿司を扱っているところもあります。日本食材をイギリスに広めたい企業の方にとっても有力なパートナーとなり得るスーパーマーケットは、実際に足を運んでチェックしておきたい小売店の1つでもあるのではないでしょうか。
イギリスの主要なスーパーマーケットは、それぞれブランドカラーがはっきりしており、顧客層も大まかに分かれているのが特徴です。
本記事では、イギリスで顧客満足度の高いスーパーマーケットや売上アップのために行っている対策、それぞれの特徴をご紹介します。
スーパーマーケット満足度ランキング2025 ―イギリスで最も人気のスーパーは?
イギリスの消費者向けウェブサイトWhich?が、毎年恒例の顧客満足度調査の一環として「イギリスで最も優れたスーパーマーケット2025年」を発表(実施:2024年10-11月)。
このランキングは、家庭内で食料品の買い物を単独または共同で担当している一般消費者3,206名を対象としたオンライン調査で、「コストパフォーマンス」「全体的な顧客サービス」「スタッフの対応力と親切さ」「店舗外観」「レジ待ち時間」「セルフレジ/セルフスキャン」「在庫状況」「製品ラインナップ」「自社ブランド製品と生鮮品の全体的な品質」の9つの項目について5段階で評価してもらった結果に基づいたものです。
1位 M&S(マークス&スペンサー)・・・・・・79%
2位 Tesco(テスコ)・・・・・・・・・・・74%
3位 Aldi(アルディ)・・・・・・・・・・・72%
3位 Iceland(アイスランド)・・・・・・・72%
3位 Waitrose(ウェイトローズ)・・・・・72%
6位 Sainsbury’s(セインズベリーズ)・・・71%
7位 Lidl(リドル)・・・・・・・・・・・・69%
8位 Asda(アスダ)・・・・・・・・・・・66%
8位 Morrisons(モリソンズ)・・・・・・・66%
見事1位に輝いたのは大手小売りチェーンのMarks & Spencer(マークス&スペンサー)でした。当社は141年の歴史を持つ老舗で、自社ブランド製品と生鮮品の品質で最高の5つ星を獲得した唯一のスーパーマーケットとして、4年連続で1位をキープしました。
恐らくイギリスで最も知名度の高いスーパーマーケットであるTesco(テスコ)は、店舗の外観や商品の品揃え、在庫状況が高評価されて2位、高価格帯スーパーマーケットのWaitrose(ウェイトローズ)は、買い物体験は賞賛されるも、価格に見合った品質ではないとの評価で3位となりました。
一方、Waitrose(ウェイトローズ)と同順位のAldi(アルディ)とIceland(アイスランド)は、7位のLidl(リドル)とともに最高のコスパ評価を獲得しましたが、商品の品質やレジ待ち時間、スタッフの対応に対しては顧客満足度が低いことが分かりました。
イギリスの大手スーパーマーケット 特徴一覧
①【高品質&優れた顧客サービス】高級スーパー
M&S(マークス&スペンサー) ―洗練された店内と高品質なセレクション
大型店舗では衣料品やインテリアなども扱う大手小売チェーンである当社は、自社ブランドや生鮮食品の品質と品揃え、品質に見合った価格、ショッピング体験が高評価でトップとなりました。
上記調査の回答者の中には、「ここで買い物をするのは本当に楽しい。多少高価でも素晴らしい品質の製品が手に入るので気にならない」 と回答している人も。
レディーミールの品揃えが豊富な印象で、メイン+サイド+デザート+ワインで£15などのディールも充実しています。自社ブランドのシンプルにお洒落なパッケージや缶入りビスケットなども人気で、ホテルで軽く済ませる食事やプチプラ土産を探す観光客の買い物スポットとしても最適です。
また、当社は過去数年間で食品売り場を拡大し、主食の価格を凍結あるいは値下げすることで、週1回買い物をする顧客をターゲットにしてきました。この戦略は成果を上げており、半期決算では食品の売上が前年比8%増となったそうです。
Waitrose(ウェイトローズ) ―清潔感のある店内に会員限定の無料コーヒー
店舗外観、スタッフの対応の良さと親切さが評価された当社。王室御用達ということもあり、上流階級の人々が利用する高級スーパーマーケットというイメージがあります。しかし、リーズナブルな自社ブランドもあり、実際は中流階級以下の人々もイレギュラーに利用しています。
現チャールズ国王が皇太子時代に設立したオーガニックブランド“Duchy Organic(ダッチーオーガニック)”をはじめ、生鮮食品に限らないオーガニック製品の豊富さや、こだわりの詰まった自社ブランドの数々、Neal's Yard Remedies(ニールズヤード・レメディーズ)のような有名ブランドのコスメも扱っている点が他社と違う特徴です。
また、会員になると貰えるディスカウントクーポンや、買い物の度に持参のタンブラーに入れてテイクアウェイできる無料のコーヒーが顧客に好評のようです。同グループの百貨店John Lewis(ジョン・ルイス)でオンライン購入した商品の受け取りも可能です。
しかし、同じ商品でも他社より高価格設定のものもあるためか、上記調査では品質対価格が低評価でした。
②【知名度&利用率はトップ】中堅スーパー
Tesco(テスコ) ―店舗数No.1
店舗数が最も多い当社は、コンビニのような“Tesco Express(テスコ・エクスプレス)”や大型店舗“Tesco Extra(テスコ・エクストラ)」という複数の規模での展開を行っており、品揃えが多く、顧客に寄り添った価格提供で有名です。
調査では、「明るくて、清潔で整頓されていて、割引が多い」という回答がありました。Tescoクラブカード会員になると、多くの商品を割引価格で購入することができます。
必需品においては、安さで知られるAldi(アルディ)の価格に合わせるという戦略を行っており、それが功を奏したのか、食料品市場で大きなシェアを誇っています。今後さらにシェアを拡大し、2025年には過去最高の利益を上げる見込みということです。
Sainsbury’s(セインズベリーズ) ―高すぎないが高品質
食品だけでなく衣料品や日用品も扱う大手の1つ。高級スーパーマーケットほど高くない割に品質が良く、オーガニック製品も豊富な点が好評です。
調査では、品揃えの豊富さや広々とした店内を評価する声がありました。
当社はTescoに習い、ロイヤルティ割引とAldi価格マッチングを導入しています。
Asda(アズダ) ―顧客サービスと在庫状況が不評
世界一大きいと言われるアメリカのスーパーマーケット、Walmart(ウォルマート)の傘下にある大手で、食品や衣類、日用品、家電まで幅広く扱っています。
調査では、顧客サービス、店舗外観、在庫状況などが低評価で、Morrisons(モリソンズ)と並んでオンラインともに最下位という結果でした。「地元の店舗では棚が空っぽで、レジも無人であることが多い」と複数の回答者が述べています。
また、最も安い大手スーパーマーケットの1つとして挙げられているにも関わらず、価格が品質に見合っていないという声もあります。
当社は、ロイヤルティ価格で顧客を誘い込むのではなく、Asda Reward会員には特定の商品に対してキャッシュバックを提供しています。
④【価格重視の顧客が多い】ディスカウントスーパー
Aldi(アルディ) ―安さNo.1
National Retail Federation(全米小売業協会)が発表した世界最大の小売業界団体「Top 50 Global Retailers 2024(世界の小売企業トップ50 2024年版)」で4位となった当社。ドイツ発のディスカウントスーパーマーケットで、無駄を省いた店舗運営に、自社ブランドを中心とするリーズナブルな価格帯の商品が特徴です。
Which?の「イギリスで最も安いスーパーマーケット2024年」調査では、最安スーパーマーケットとして1位にランクインしています。
しかし、価格に見合った品質から店舗の外観、在庫状況、顧客サービスに至るまで、5段階中2しか獲得できませんでした。レジの行列やレジ係に急かされる感覚にうんざりしている回答者もいれば、店舗の乱雑さや在庫不足を指摘する回答者もいました。
Iceland(アイスランド)―冷凍食品が豊富でコストパフォーマンスが◎
店内商品の半分くらいが冷凍食品という、冷凍食品に特化したスーパーマーケット。競争力のある価格が好評でしが、レジの行列や生鮮食品の品質、スタッフ不足に不満を抱く顧客も多いようです。
冷凍食品以外の食品もついでに購入したいという顧客に応えるために、当社はここ数年で生鮮食品と非冷凍食品の品揃えを増やしてきましたが、それでもまだ品揃えが多いとは言えません。
小規模な実店舗チェーンですが、今後10年間でフード・ウェアハウス(大規模な郊外店舗)の店舗数を2倍に増やすことを目標としているそうです。
Lidl(リドル)―豊富な特典&テーマに沿って設置される食品コーナー
同じくドイツ発のAldi(アルディ)とはコンセプトが類似しており、競合として知られています。可能な限り地元で調達することに力を入れており、同じLidlでも国によって品揃えが違うのが特徴です。
簡素な店内で、コストパフォーマンスの面で優れていますが、自社ブランドおよび生鮮食品の品質に懸念を抱く顧客も。
しかし、パーソナライズされたクーポン、特定の製品割引、一定額購入時の無料特典、テーマを決めて度々開催される食料品コーナーの設置には魅力を感じている顧客も多いのではないでしょうか。
店舗内のベーカリーでは1分間にバタークロワッサンが122個売れているという情報もあり。
▼Lidl(リドル)についてはこちらの記事もおすすめです
日本食の海外人気継続中!スーパー「Lidl(リドル)」で発見の日本食品
⑤ その他
Whole Foods Market(ホールフーズマーケット)―ナチュラル系高級スーパー
アメリカ発、「地元産」「オーガニック」「植物ベース」に当てはまる商品を提供する高価格帯のスーパーマーケット。
主に水素添加脂肪や人工着色料、香料、保存料を含まない製品を扱っているということで、健康、ナチュラル志向の顧客に好まれています。御惣菜や輸入食品、チーズ、ワインなどのコレクションも充実しています。
Ocado(オカド)―No.1オンラインスーパー
Which?による調査のオンラインスーパーマーケットカテゴリで1位を獲得した、イギリスで最も急成長しているスーパーマーケットの1つ。M&Sの商品を扱う唯一のオンラインスーパーマーケットとしても知られています。
品揃えの良さと自社ブランド製品、集荷/配達枠の利用可能性やコミュニケーションなどの顧客サービスが好評で、「オンライン小売業者の中で総合的に最も優れた体験を提供している」「今後は他のスーパーマーケットは使わない」との声がありました。
スマートパスを購入(月々£8.99-年間£89.99)すると、無料配送や独占割引、ギフトの獲得ができるというロイヤルティプログラムも提供しています。
▼こちらの記事ではOcadoの戦略について触れています
顧客中心主義がビジネスを成功させる②注目のイギリス企業の事例と戦略
イギリスのスーパーマーケットランキングから分かる海外進出の秘訣
Which?の調査結果は、イギリスの消費者が顧客サービスや商品の質を重視していることを示しています。
4年連続でM&Sがトップになったことを見ても、優れた顧客体験や高品質の食材を得るためには多少の出費を厭わない消費スタイルが根強いようです。
2025年の消費スタイルの1つである「健康」が後押しし、ヘルシーなイメージのある日本食ブームはまだまだ続くことが予想されます。日本食材でイギリス進出したいと考えている方は、特徴がはっきりしている故にターゲットを定めやすいスーパーマーケットをパートナー候補として検討してみるのもいいかもしれません。
▼弊社へのご質問・ご依頼はこちらからお気軽にお問い合わせください。
出典:
https://www.which.co.uk/news/article/which-reveals-best-and-worst-supermarkets-2025-aT06W5J4UFwt
https://www.which.co.uk/news/article/which-was-the-cheapest-supermarket-in-2024-aq9Jt0i5exZ7