多様な性を認めるジェンダーレス社会へ。LGBT基礎知識&割合2021
SDGsで企業も注目。ジェンダー平等&多様性
SDGs(持続可能な開発目標)の目標5「ジェンダー平等を実現しよう」にあることからも、世界ではジェンダーレスや多様性という言葉が飛び交い、企業活動においても無視できない時代になってきています。自分らしさを表現しようとする価値観がZ世代辺りで流行し、ユーザーの性別を限定しないブランドや、多様性を意識した製品などが支持されています。
SDGs目標5内の達成目標では女性の権利に関するものが多いですが、ジェンダーは男女平等だけの問題ではありません。近年、「LGBT」という言葉が日本でも認識されてきているように、私たちの性自認や性的指向には実に様々なカタチがあるのです。
まずは多様な性を知ることがLGBTを理解することに繋がり、企業の制度やものづくりに生かすことができるのではないでしょうか。本稿では、LGBTの基礎知識と人口の割合についてまとめました。
▼SDGs17の目標についての記事はこちら
多様な性を知ることがジェンダーレス社会への1stステップ【LGBT基礎知識集】
① LGBTって何?なんの略?
既にご存じの方も多いと思いますが、LGBTはセクシュアル・マイノリティ、すなわち性の多様性において少数派である人々の総称です。
Lesbian(レズビアン)・・・女性を恋愛の対象とする女性
Gay(ゲイ)・・・男性を恋愛の対象とする男性
Bisexual(バイセクシュアル)・・・異性と同性どちらもを恋愛の対象とする人
Transgender(トランスジェンダー)・・・出生時の身体に基づいて判別された性別に違和感を持つ人
LGBTはこれらの頭文字からつくられています。セクシュアル・マイノリティを決める要素としては、身体的なものや性自認、性的思考、性表現(自分をどのような性として見せたいか)があり、これらを元にどこに当てはまるか判断されます。しかし、最近では多様性と言う言葉がトレンドになっているように、LGBTだけがセクシュアル・マイノリティだと言い切ることが困難になってきています。
では、他にはどのようなものがあるのでしょうか?
② LGBTQプラスの種類とは?LGBTとの違いは?
LGBTの次によく耳にしたことのあるのがLGBTに「Q」を追加したLGBTQではないでしょうか?Qは「クィア」または「クエスチョニング」のことで、自身の性自認や性的指向が定まっていない、あるいは敢えて決めていない人を指します。自分の性や性的指向を決めない方が生きやすかったり、まだどのセクシャリティなのか分からなかったりする人たちもいるのです。
「クィア(Queer)」とは、元々は「風変わりな、妙な、変な」などといった意味があり、蔑称として使用されてきましたが、今では当事者自らがポジティブな意味で使用するようになっています。
このLGBTQに「プラス」が加えられたLGBTQ+は、既存のカテゴリに当てはまらない様々な性が更に存在していることを意味しており、LGRTsと表記されることも。
プラスの種類を具体的な頭文字で表した言葉の1つに「LGBTTIQQ2SA」があります。それぞれ何の頭文字なのか、先に説明していない頭文字のみを以下に挙げてみました。
Transsexual(トランスセクシュアル)・・・出生時の身体に基づいて判別された性別とは違う性別になった人
Intersex(インターセックス)・・・身体の性別の特徴が男女どちらかであると言えない状態の人
2Spirit(トゥースピリット)・・・北アメリカの先住民社会では2つの精神を持つ人(女性の魂と男性の魂が同時にある)とされ、様々なジェンダーロールを生きている人を意味する
Asexual(アセクシャル / エイセクシャル)・・・他人に対して性的魅力を感じない人
そして更に、男性・女性の二分類に捉われずすべてのセクシュアリティの人が恋愛対象となる「Pansexual(パンセクシュアル)」や男性・女性どちらにも属さない「Xジェンダー」など、“プラス”で表すのが納得できるほどたくさんの性が存在しています。
③ 「アライ」とは?LGBTの理解者?
アライとは「ストレートアライ」の略で、「味方」を意味する英語「Ally」から来ています。LGBTでは無いけれどLGBTの人々の活動を支持し支援している人たちのことを言います。日本LGBT協会では、知ってもらうことで理解が進み当事者が誰かに話せるように、アライの人たちも参加できるイベントを開催しています。
例え表明しなくても、「男らしい」「女らしい」というような性別で限定した表現に気をつけるなど、些細なことでも理解を示すことはできるでしょう。
④ LGBTの象徴「レインボーフラッグ」の意味
ゲイ・パレードなどではためくレインボーフラッグ。レインボーカラーは、今やLGBTの尊厳と LGBTの社会運動を象徴するものとして定着していますが、アメリカ出身のギルバート・ベイカー(Gilbert Baker)が1976年にデザインしたものが始まりと言われています。6色になった今も、8色あった当時と同じ意味がそのまま込められています。
ピンク・・・・・・Sexuality(性)
レッド・・・・・・Life(生命)
オレンジ・・・・・Healing(癒し)
イエロー・・・・・The sun(太陽)
グリーン・・・・・Nature(自然)
ターコイズ・・・・Art(芸術)
インディゴ・・・・Harmony(調和)
バイオレット・・・The soul(精神)
当時の印刷技術の問題でピンクとターコイズが省かれ、6色がそのまま定着したそうです。ちなみに、レズビアンフラッグやバイセクシュアルフラッグのように、各々のフラッグを持つ性もあります。
LGBT人口ってどれくらい?世界の割合2021
Ipsos(イプソス)の「LGBT+ PRIDE 2021 GLOBAL SURVEY」によると、「もしあれば次のうちどれに当てはまりますか?」という問いに対し、調査対象27ヶ国の回答を平均すると以下のようなデータが得られたそうです。
レズビアン / ゲイ / ホモセクシュアル 3%
バイセクシュアル 4%
パンセクシュアル / オムニセクシュアル 1%
アセクシュアル 1%
その他 1%
ヘテロセクシュアル 80%
DK / NA 11%
すなわち、ヘテロセクシュアルでない人の割合は9%ということになります。選択肢にセクシュアル・マイノリティの全種類があるわけではなく、LGBTQのQの人が「その他」と回答しているか「DK」と回答しているかも明らかではないため、LGBTの割合を9%と言い切ることはできません。しかし、LGBTの割合がヘテロセクシャルと比べると明らかに高くないことは分かります。国別の数値でもノンヘテロセクシャルが20%を上回る国はありませんでした。
割合が多い上位は、インド(17%)、ブラジル(15%)、スペイン(12%)でした。
※ 調査対象:27ヶ国の16-74歳の成人19,069人
LGBTプライド ―性に捉われず思うままに生きられる時代
毎年6月には「プライド月間(Pride Month)」と呼ばれ、世界各地でLGBTの権利を啓発する活動・イベントが実施されています。ここでのプライドとは、LGBTの人々が自己の性自認や性的指向に誇りを持つべきとする意味で使用されています。しかし、よく考えれば、LGBTの人たちだけがマイノリティであるからという理由で、社会に居場所をつくるためにこのような活動を起こさなければならなかった背景には違和感があります。そもそも「ストレート(異性を恋愛対象とする人)」が当たり前なのでしょうか?この多様性の時代では、ストレートもLGBTの1つだと考えるべきなのかもしれません。
動物的な性別にとらわれず、すべての人が自分の思うままに生きられる社会を目指すために、企業としてもすべての人たちの価値観と向き合う活動が求められています。
再来週の記事では、LGBTに関する日本の問題点と海外の取り組みをご紹介します。
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