オーバーツーリズム対策の二重価格に反対?外国人差別にならない方法は

オーバーツーリズム対策の「二重価格」海外事例―差別や違法ではない?」では、インバウンドにおける二重価格制度とは?から、海外観光地における二重価格の導入事例までをご紹介しました。

二重価格の導入はオーバーツーリズム対策としてのメリットもありますが、一方で反対意見も見られます。続編となる本記事では、二重価格に対する賛否各々の理由や外国人差別と思われないためにはどうしたら良いかをまとめてみました。

訪日外国人の方々が差別されていると感じない導入の仕方を考えてみましょう。

 

 

▼オーバーツーリズムに関する他の記事はこちら

オーバーツーリズム(観光公害)とは?日本国内の事例と課題

オーバーツーリズム(観光公害)対策 海外&日本の成功例,事例

 

「二重価格」は差別?賛成7割も反対意見あり

共通ポイントサービスPonta(ポンタ)を運営する株式会社ロイヤリティマーケティングが、10~60代の方を対象に行った「訪日客向けの二重価格に関する調査」によると、訪日客向けの二重価格に「賛成」の人は、「賛成」40.9%と「やや賛成する」28.6%の計69.5%でした。前回調査の58.3%から11.2%の上昇です。

 

賛成意見としては、

・自身も旅行の際に二重価格と似たような経験をしたから普通のことだと思う

・オーバーツーリズム対策の一環になってほしい

・円安だから

 

反対意見としては、

・日本のおもてなし精神への評価が下がる

・せっかく来てくれた観光客に対して失礼

・在留資格のある人との判別業務が煩雑になる

・差別

・不平等

 

という意見が主なものでした。

二重価格が許容できる場所は「文化施設」「自然保護区」が半数超えと、オーバーツーリズムの抑制効果や文化遺産・観光資源などを維持するための財源確保に繋がるなら導入に賛成と考えている人が多いようです。

一方、反対者からは、外国人だけ価格を上げるというのは差別で、“おもてなしの国”日本の魅力が下がり、しいては訪日外国人の減少に繋がるのではないかという不安の声が挙がっています。

では、外国人の方々に差別と思われない二重価格を設定するために、どのようなことに気を付けたらいいのでしょうか?実際の事例も参考に考えてみました。

 

 

出典:「訪日客向けの二重価格に関する調査(実施期間:2024年7月8日~7月12日)」(「Pontaリサーチ」調べ)

二重価格に外国人へのメリットを〈差別と思われないポイント〉

① 価格の違いに「合理的な理由」を持たせる

二重価格が公平な仕組みであることを説明できるようにしましょう。

例えば、外国人価格を通常の価格より高くするのではなく、通常価格と「住民割引」のように、地域住民や日本在住顧客の方(ほう)を割引にします。地域住民や長期利用者への還元、あるいは観光促進のための特別価格として認識してもらうということです。

そうすれば、外国人だけ金額を上げているという差別的な印象がなくなり、理解が得やすくなります。

② 価格の違いを「付加価値」によって正当化する

ただ単に外国人用の価格を高額にするのではなく、多言語対応ガイドや観光マップ(飲食店の場合は英多言語メニュー)などの外国人向けサービスを付けることで料金差に納得してもらいます。

姫路城の市民以外の入城料が2026年から2~3倍に上がることは前編の記事でも書いた通りですが、訪日外国人向けには「プレミアムプラン」の新設が検討されています。入場料が高額な分、食事の割引や手荷物預かりサービスが付加されるとのことです。

また、自分で調理して食べることができる飲食店では、日本語や作り方が分からない訪日外国人に対し、スタッフがつきっきりで英語で説明するなどのサービスを提供しているところもあるようです。その分接客コストがかかるということで、日本人や国内在住者より価格が高く設定してあります。

③ 透明性を持たせ、「明確に表示」する

どういう理由で価格に違いがあるのかを公式サイトやパンフレット、施設の料金表、店頭などの目に付きやすいところに予め表示しておくことが大切です。「地元住民の支援のため」「文化保護のための資金調達」などの明記しておくことで理解が得やすくなりますし、その価格と理由に納得した人のみが訪れることになり、トラブル回避に繋がります。

また、対象者の確認方法についても予め決めておく必要があります。国籍ではなく居住地(日本在住)で区別する場合は在日外国人の方も対象となるため、在留カードなどの提示が必要であることを明記しておきましょう。

「日本語ができるかどうか」「国内住所の記入」などは本当に日本在住かどうかが曖昧なため、公平な判別方法とは言い難いです。

 

二重価格でインバウンド消費を減少させないために

「差別にならないか」「料金の差が大きければ訪日外国人が減ってしまうのでは」「外国人を相手にした方が儲かるという構造が生まれてしまう」などの反対意見もある二重価格制度ですが、付加価値の設定や理由を知ってもらうことで解決する問題もあることが分かっていただけたでしょうか。

令和5年に閣議決定した「観光立国推進基本計画」に基づき、持続可能な観光地域づくり、インバウンド回復、国内交流拡大を実現していくには、訪日外国人観光客の存在や彼らの消費力が欠かせないものであることは言うまでもありません。

外国人差別という印象を与えて日本のイメージを下げることのないように、訪日に対する感謝の気持ち、おもてなし精神、そして納得してもらえるような丁寧な対応をすることを忘れずにいたいものです。

 

 

▼弊社へのご相談はこちらからお気軽にお問い合わせください

Pointblank Promotions お問い合わせ

 

 

出典:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000744.000004376.html

Previous
Previous

豆腐/海外の反応 ローカライズされたTOFUとは

Next
Next

【2025年】消費トレンド 健康やエコを意識、節約志向は継続する?