生理の話はしたくない?青い液体ではない海外の生理用品CM
CMの青い液体の謎
初めて出産した若い女性が「うちの子のおしっこは青くない」と心配した、なんていう笑い話を聞いたことがあるかもしれません。本当に勘違いをする人がいるのかは疑わしいですが、おむつのCMに青い液体が使われているせいで、このような話が造られたのでしょう。
たしかに吸収力をアピールするデモンストレーションを撮影する場合、無力透明な水では見えづらいので何らかの色を付ける必要があります。そこに青い液体が使われる理由は、清潔な印象があるからなのでしょう。
生理用品のCMも青い液体
赤ちゃん用のおむつだけではなく、生理用品のテレビCMにも一般的に青い液体が使われています。たしかにリアルな赤色は「気持ち悪い」と、不快に感じる視聴者がいるかもしれません。
生理の話はしたくない?どうしてタブーなの?
家族や親せきと一緒にテレビを見ている時に生理のCMが放映されると、「気まずい」と感じる人は多いようです。職場や学校などでも、男性のいる所で生理の話をするべきではないと考える女性が多いのも事実です。普段からこのように考えているにも関わらず、いきなり生理用品のテレビCMが流れ始めたら「やめてほしい」と思う人が多いのも頷けます。
しかしながら、生理は一定の年齢の女性なら誰でも経験することです。タブー視していることによって、生理中の体調不良を言い出しにくいと悩んでいる女性も多いのです。これによって生理や女性の体調不良に関する周囲のリテラシーが上がらず、我慢し続けなければならないという負の連鎖にもなっています。
生理用品のCMに青い液体の使用することにより「生理の話は気持ち悪いのでタブー」と、間接的なメッセージを発信していることにもなり得ません。
リアルは気持ち悪い?海外の生理用品CM
イギリスのEssity社の生理用品ブランドBodyformは、2017年よりテレビCMに赤い液体を使用しはじめました。それと同時に「ブラッド・ノーマル(#bloodnormal)」というキャンペーンで、女性の生理について堂々と話すことも奨励しています。
2017 年当時、Essity社のNicola Coronado氏は「目的を持ってタブーを破ることが重要」だと語り、「ドラマや映画の暴力的なシーンで赤い液体を見ることには抵抗がないのに、なぜ生理について話すことには抵抗があるのですか?」と、印象的なコメントも残しています。
Essity社内でも賛否両論のあったテレビCMですが、一般の女性たちにアンケート調査を行ったところ、3分の2以上の好感を得ることができました。
2017年以前にもEssityは、広告やテレビCMをリアルにすることに重点を置いてきましたが、それによってブランドイメージが向上し売り上げも伸ばしています。
生理用品のCMを見た男性からの苦情?
Bodyformは2012年にも印象的なCMを打ち出しています。
CMの冒頭にはリチャードという男性からBodyformに苦情が寄せられており、要約すると「CMのせいで生理は楽しいものだと思っていたが、ガールフレンドが出来て本当は違うことが分かった」という内容が書かれています。過去の生理用品のCMでは、生理中にも関わらずダンスやパラセーリングを楽しむ女性が描かれていたようですが、実際にはどんなに良い生理用品を使ったとしても、多くの女性は生理の期間をそんなにアクティブに過ごすことは出来ません。リチャードは子どもの頃から、女性は月に一回思いっきり楽しいことがあって羨ましいと思っていたのです。(実際にここまで大きな勘違いをする男性はおそらくいないので、ジョークを交えたCMであることが分かります)
そこでBodyformの(架空の)CEOが登場し、過去の過ちを認めながら謝罪していきます。そして最後にはあの青い液体を飲むというジョークも入れられています。
「生理の話はタブーではない」を継続中
現在のBodyformのWEBサイト上では「私の子宮の物語(my womb story)」として、様々な女性のストーリーが紹介されており、引き続き生理や子宮に関する話はタブーではないというメッセージを発信してます。また、同WEBサイト上には様々な生理に関する悩みに答えるページも設けられており、消費者のリテラシーの向上にも貢献しています。
生理の話を彼氏以外にできるか
身近な女性から生理の話をされた男性が、その女性が自分のことを異性として意識しているのか、あるいは男友達としか見ていないのかと、インターネット上で相談しているのを時々見かけます。また、女性が彼氏以外の男性に生理の話をしても良いのか相談しているのも見かけます。
生理の話はそのくらい特別で、ナイーブな話題として扱われているのが現状なのでしょう。女性が生理の話をしにくいだけではなく、男性から女性に「生理中なら無理しないでね」と気遣う声も掛けにくいのもかもしれません。
「生理中です」と、「風邪気味です」と同じ調子で言えるようになる日はすぐに来ないかもしれませんが、テレビCM等の広告表現により、少しずつ変化していく可能性はゼロではありません。
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