インバウンド/アウトバウンドとは?違いをわかりやすく解説

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インバウンドはいつの間にか外国人向けの旅行業や観光業を指す言葉として定着しましたが、数年前まであまり聞きませんでした。日常的に使われているのになぜそう言われるようになったのか、よく分からない言葉の一つかもしれません。

この記事ではインバウンドの語源を辿りながら、反対語のアウトバウンドとの違いや意味をわかりやすく解説していきます。

インバウンドの意味「海外から訪日する観光客」なのか

日本語の「インバウンド」の語源である英語の"inbound"を辞書で調べると「本国行きの、帰航の、市内に向かう」と説明されており、海外から観光客が訪れることという意味合いはないようです。しかし「外側から内側へ向かうこと」を連想させる言葉ではあるため、感覚的に「海外から日本国内へ向かうこと」だと理解できるのではないでしょうか。

「インバウンド」が旅行や観光業界で「海外から訪日する観光客」を意味するようになったのには、このような背景がありそうです。

インバウンドの反対、アウトバウンドとは

「アウトバウンド」は、「インバウンド」の対義語だと考えれば、おのずとイメージが湧きやすくなるのではないでしょうか。実際に英語の"outbound"を辞書で調べると、「外国行きの、市外に向かう」と説明されており、"inbound"の完全な対義語であることが分かります。したがって、観光業界では「日本人が海外へ行くこと」という意味合いで使用され、日本人がビジネスで海外進出する場合であっても、同様に「アウトバウンド」と言われることが多くなりました。

インバウンド、いつから始まった?

日本で初めてインバウンド専門の民間機関が誕生したのは、1893年のことでした。この民間機関は「喜賓会」と呼ばれ、渋沢栄一の働きかけによって設立されました。1912年には日本交通公社や後のJTBであるジャパン・ツーリスト・ビューローが設立され、多くの外国人観光客が誘致されてきました。

戦後は1964年の東京オリンピック開催に向け、外国人観光客を受け入れるためのインフラも整えられました。

順調に見えた日本のインバウンドビジネスですが、1970年以降に成長が鈍化しています。その原因は日本人が全体的に裕福になったため、観光業界が国内需要に重きを置いたことが挙げられます。一般の日本人が海外へ出掛けられるようになり、1971年にはインバウンドよりもアウトバウンドの需要が多くなりました。1995年にはアウトバウンド需要がインバウンド需要の5倍にまで膨れ上がっています。

その後、2000年台以降には訪日外国人を誘致するための政策が設けられ、ついに2015年には45年ぶりにインバウンド需要がアウトバウンド需要を超えました。インバウンドやアウトバウンドという言葉が使われ始めたのも、2010年以降のこの頃なのではないでしょうか。

旅行・観光業と違う意味のインバウンド&アウトバウンド

「インバウンド・マーケティング」とは?勘違いしやすいので注意

インバウンド・マーケティングと聞くと「外国人観光客向けのマーケティングかな?」と思ってしまいそうですが、実はそうではありません。

英語の"inbound marketing"は、消費者の潜在的な欲求を見極めて、それに合うコンテンツを提供して購入を促すという意味で使われます。無理やり商品やサービスを売ろうとするのではなく、顧客にとって価値があるものを提供することで徐々にファンになってもらい、最終的には購入してもらうといったマーケティング手法です。日本語で「インバウンド・マーケティング」と表現される場合にも英語と同じ意味で使われることが多いため、注意が必要です。広告やマーケティング業界では「インバウンド」をこの意味合いで使うことが一般的です。

また、対義語として「アウトバウンド・マーケティング」という言葉もあり、テレビCMやダイレクトメールなど、消費者に能動的に働きかける宣伝方法を意味します。

ただし「インバウンド・ビジネス」は一般的に「外国人観光客向けのビジネス」を意味するので、混同しないようにしましょう。

IT用語の「インバウンド通信」「アウトバウンド通信」とは

IT業界でもインバウンド通信や、その反対語のアウトバウンド通信という言葉が使われます。

インバウンド通信は個人であまり使うことがないのでイメージしにくいかもしれませんが、外部のコンピューターから自社サーバーにアクセスするような通信をそう呼びます。

アウトバウンド通信はその逆で、今使っているコンピューターから外部へアクセスする通信です。したがって、インターネットもアウトバウンド通信です。

テレマーケティング業界の「インバウンド」とは

テレマーケティング業界では電話を受信することをインバウンド、電話を発信することをアウトバウンドと呼びます。消費者からの注文、クレームや相談の電話を受けることなどがインバウンド・テレマーケティングになります。前出のインバウンド・マーケティングとも混同しやすいので、注意が必要です。

「インバウンド」「アウトバウンド」という用語の普及には

「インバウンド」「アウトバウンド」という用語の普及した背景としては、コロナ禍があったものの、ここ10年の外国人観光客の増加が挙げられます。

弊社では、インバウンド事業の方におすすめの海外広告の手配、海外のインフルエンサーを使ったPRなど、クライアント様のニーズに合わせて効果的に外国人観光客を増やす方法をご提案いたします。また、日本のものを海外で広めたいアウトバウンド事業の方向けの海外進出サポートも承っております。「お問合せ」より、お気軽にご連絡ください。 

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