ジェンダー多様性&LGBT。オリンピックに見るスポーツ界の状況

多様性の元に開催された東京オリンピック。LGBTアスリートが増加

2020年に行われた東京オリンピックでは、「多様性と調和」が理念として掲げられ、LGBTQなど性的マイノリティーであることを公表して出場した選手が少なくとも186人と過去最多でした。これは、2016年のリオオリンピックに参加した人数の3倍以上です。このことはスポーツや社会における LGBTの人々の受け入れの高まりを反映していると言えます。ユニフォームの形状への嫌悪、チームの中でありのままの自分でいられない状態、アウティングへの恐れなど、自認しない性で競技することを苦痛に思う選手にとって、希望が感じられた大会であったのではないでしょうか。しかし、スポーツにおける性の多様性には難しい問題もあります。

これまでのLGBTに関する記事では、基本情報から日本での割合、海外における取り組みなどをご紹介してきましたが、今回はスポーツ界でのLGBTに注目してみました。

 

 

▼最近の多様性・LGBTに関する記事はこちら

多様な性を認めるジェンダーレス社会へ。LGBT基礎知識&割合2021

多様性国別ランキングやデータがこの世に存在しない理由

多様性時代のジェンダーLGBT。日本での理解度と海外の取り組み

ダイバーシティ企業ランキング上位の職場 | 海外取り組み事例

LGBT選手はどうなる?スポーツにおける多様性・ジェンダー問題

LGBTである有名人が次々とカミングアウトし、「配偶者」は妻や夫ではなく「パートナー」と表現されることが多くなってきました。しかし、スポーツ界においては身体的な要素が強く関わってくるため、公平性が曖昧であり、単純に性の多様性を認めるだけでは終わりません。例えば、「男性として生まれたが性自認が女性のトランスジェンダーアスリート」と、「女性として生まれた女性アスリート」が競い合った場合の試合結果が公平なものかと問われたら、はっきりと答えられる人はいないのではないでしょうか?

筋肉量が多く体格の良い選手、すなわち男性の身体を持つ選手が有利であると考える人は多いでしょう。オリンピックではIOC(国際オリンピック委員会)が決めた規定があり、その線引きとして、男性の主要なホルモンであるテストステロンの値を基準にすることを決定しています。しかし、先天的な疾患でテストステロンの値が高い女子選手も存在します。東京オリンピックでも、この規定により、種目変更せざるを得なかった選手や出場が叶わなかった選手がいました。

多様性時代のジェンダーLGBT。日本での理解度と海外の取り組み」で述べた「LGBTトイレ問題」でもありましたが、多様化する性が明らかになった現代では、すべての性に平等な状況をつくることが非常に難しくなっているのです。

多様な性を尊重するSDGs的スポーツのあり方。海外(イギリス)の事例

スポーツにおけるLGBT問題は国際大会においてだけではありません。一般のLGBTの人々が性に捉われずに楽しめる場も必要です。そのために、海外ではどのような取り組みがおこなわれているのでしょうか?

例えば、弊社のあるイギリスには、Pride Sportsという組織があります。2006年に設立された当組織は、LGBT+の人々のスポーツへのアクセスを改善することに取り組んでいる、英国で最初の、そして現在においても3つしかない組織のうちの1つです。変化のための活動、教育、グッドプラクティスの促進、LGBT+の人々のスポーツへの参加と満足度を高めることを目的としており、ウェブサイトからは興味のあるエリアからインクルーシブなスポーツクラブを探せるようになっています。イングランドだけでも191のグループが存在しているのは驚くべきことです。

このようなグループに参加することで、スポーツを楽しむことだけでなく、仲間を見つけ、集団の中でありのままの自分に自信を持つことができます。SDGs(持続可能な開発目標)が騒がれる以前から存在する組織ですが、ジェンダーに悩む人を「誰一人取り残さない」、マイノリティーに配慮したサステナブルな社会づくりに繋がる取り組みと言えるでしょう。

様々な分野において多様性&LGBTへの配慮が当たり前に

多様性に対する認識の増加は、ソーシャルメディアの台頭で、誰もがありのままの自分を魅力的に表現し、世間(フォロワー)と直接やりとりできるようになったことも少なからず関係しているのではないでしょうか?「#MeToo」運動などのように、影響力のある発言が拡散されれば社会を動かすこともあり得る時代です。今後益々多様性が尊重される社会になることを踏まえ、会社経営や製品づくりに取り組むことが求められます。

 

 

 

▼その他、ダイバーシティについての記事はこちら

ダイバーシティ & インクルージョンの意味【英語を元に徹底解説】

ダイバーシティ & インクルージョン【経営における4つの戦略】

「多様性」はマーケティングなの?インクルーシブ・ファッションとは

ダイバーシティ & インクルージョン【イギリスの現状と事例】

 

 

 

▼弊社へのご質問はこちらからお気軽にご連絡ください。

Pointblank Promotions お問い合わせ

Previous
Previous

LGBT+のプラス。超マイノリティーに焦点を当てるべき理由とは

Next
Next

ダイバーシティ企業ランキング上位の職場|海外取り組み事例