グリーン・マーケティングとは?①定義・具体例・歴史をわかりやすく解説
5月10日は「ヤギの日」でしたが、ご存じでしたか?これは岐阜県美濃加茂市が独自に制定した日であり、英語でヤギを意味する「Goat(ゴート)」の語呂合わせが由来です。
当市では2013年から、ヤギを放牧して雑草を食べさせることで緑地の維持管理を行い、地元の人々からは「ヤギさん除草隊」「草刈ヤギさん」などと呼ばれ親しまれています。
高齢化が進む中、除草に必要な労働力確保と費用の削減が目的ではじめられましたが、除草剤を使用せず、機械による二酸化炭素排出防止にもなるこの方法は、地球環境にも良い、サステナブルだと注目されています(家畜による温室効果ガス排出の問題もありますが、現在ではエサによってメタンガスを減らすことができることが分かっています)。
当市だけでなく佐賀県武雄市の農園や三重県名張市の会社においても、除草ヤギのレンタル・販売サービスとしてヤギによる除草が行われており、今後も全国的に広がっていくのではないでしょうか。
今回は、このようなエコに繋がるユニークな活動を調査しました。グリーン・マーケティングとは?から海外のエコ活動事例までを2回に渡りご紹介します。
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グリーン・マーケティングとは?定義をわかりやすく
「○○マーケティング」という言葉をよく聞くように、マーケティングの概念はたくさん存在しています。先に上げた除草ヤギのレンタル・販売サービスのようなビジネスはグリーン・マーケティングに含まれますが、この「グリーン・マーケティング」という言葉、最近特に耳にするようになったという方も多いのではないでしょうか?
グリーン・マーケティングとは、英語では「Green marketing」と表記され、「環境マーケティング」「エコロジカル・マーケティング」と訳されることもあります。グリーンという言葉から連想されるように、地球環境の保護を重視した製品やサービス、取り組みを宣伝するマーケティング活動を意味しています。
グリーン・マーケティングとは?企業に求められる具体的な活動内容
グリーン・マーケティング、すなわち環境にやさしい戦略を具体的に言うと次のようなものが挙げられます。
① 環境にやさしい製品の制作
② 環境に配慮したリサイクル材を使用した商品パッケージの使用
③ 生産プロセスからの温室効果ガス排出量の削減
④ サステナブル(持続可能)なビジネス慣行の採用
⑤ 製品の環境上の利点を伝えるマーケティング活動
⑥ 利益を再生可能エネルギーやカーボン・オフセットの取り組みへの投資
※カーボン・オフセットとは?
日常生活や経済活動などにおいて避けることのできない温室効果ガスの排出量削減の努力をするとともに、削減しきれない排出量について、他の場所で実現した排出削減量を購入、あるいは他の場所で排出削減活動を実施することなどにより埋め合わせるという考え方です。
グリーン・マーケティングの歴史。現代はサステナブルな段階へ
「グリーン・マーケティング」という言葉は、実は1980年代後半から既に使用されていました。1980年代初頭のヨーロッパにおいて、一部の工業製品が自然環境に有害であることが発見されたときがはじまりだと言われています。それ以来、グリーン・マーケティングは3つの段階を経て発展してきました。
第1段階はエコロジカル(生態学的)・グリーン・マーケティングと呼ばれ、すべてのマーケティング活動は環境問題の解決策を提供することを目指していました。しかし、企業は売り上げを伸ばすために、既存の製品をもって環境に配慮していることをアピールするだけで実際には何もしていませんでした。
このグリーンウォッシュ(うわべだけの取り組み)への批判により、グリーン・マーケティングは第2段階、エンバイロメンタル(環境)・グリーン・マーケティングに入ります。この段階では、自然環境に害を及ぼさない新製品をつくるテクノロジーに焦点が移りました。
その後、1990年代後半から2000年代前半に入ると、人々は自然環境保護について高い意識を持ち始め、サステナブル(持続可能な)・グリーン・マーケティングと呼ばれる第3段階に入りました。消費者が自然環境への負担が少ない製品・サービスを購入するようになったことで、企業はマーケティング活動に大きな変革を余儀なくされました。
サステナブルな商品を好む消費者が増加
イギリス消費者は生産廃棄物の削減&二酸化炭素排出量を重視
グリーン・マーケティングの台頭は、たとえ高価であっても環境に配慮した製品を購入することを好む消費者が増加していることに起因しています。
Statista(スタティスタ)によると、イギリス消費者がサステナブルブランドを好む主な理由の1つは、よりエコフレンドリーな環境や気候変動への関心からきているようです。調査対象となった買い物客の約30%がこのことが重要であると感じています。
また、アメリカ消費者が自分たちの価値観と一致するブランドを最も高く評価していたのに対し、イギリス消費者は生産廃棄物の削減と二酸化炭素排出量をより重視していました。
国内でつくられた製品は安価な労働力を使用して海外でつくられた製品よりも高価になる傾向がありますが、海外から空輸される商品よりも二酸化炭素排出量がはるかに少なくなります。
このように、グリーン・マーケティング実践にはそうでないマーケティングと比べると費用がかかる場合が多いですが、一部の消費者や企業にとっては、環境上の利点が価格差を上回ることも事実です。
再来週の記事では、海外のユニークなエコ活動事例をご紹介します。
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出典:
https://www.mbaknol.com/marketing-management/green-marketing-history-importance-benefits-and-problems/
https://www.statista.com/statistics/1318133/consumers-reasons-for-preferring-sustainable-brands/