海外進出を成功させる「言葉のローカライズ」翻訳では届かない共感戦略

海外進出を考える企業にとって、英語対応済みのコンテンツは必須とも言える施策ですが、単なる翻訳だけでは現地の消費者に“刺さる”コミュニケーションは難しいことをご存じでしょうか?

製品やサービスの魅力を伝えるには、正しい英語以上に、現地の文化や価値観、言葉使いへの深い理解が求められます。同じ英語でもアメリカ英語とイギリス英語には違いがあるように、単語や文法だけでなく、言い回しや表現のニュアンスにも気をつける必要があります。これが、単なる翻訳とは違う“言葉のローカライズ”です。

海外進出においては言葉の壁は英語力の壁ではなく、文化と言語の使い方の壁と言えるでしょう。

本記事では、イギリス進出を考えている企業の方向けに、単なる直訳ではない言葉のローカライズの大切さをイギリス英語特有の表現事例を交えて解説します。

 

マーケティングローカライズ ―翻訳とローカライズの違い

マーケティングローカライズとは、製品やサービスを海外市場に展開する際に、現地の言語・文化・価値観・消費者心理に合わせてマーケティングコンテンツや施策を最適化するプロセスを指します。

 

具体的には、

ウェブサイト:表現の自然さ、検索キーワードの最適化(SEO)、イギリス英語への調整、UIデザインの変更など

広告バナー・SNS投稿:現地の流行、言葉のトーン、ユーモア、文化的タブーの回避

パンフレット・チラシ:用語、数字表記、単位(kg↔lb/cm↔inch)などの調整

商品名・キャッチコピー:語感・意味・イメージが現地でどう受け取られるかの検討

メールマガジン・CRM(顧客関係管理):現地の祝日や季節感、イベントに合わせた内容

と言った具合です。

 

翻訳は原文の意味を忠実に別の言語に置き換える作業ですが、ローカライズは“現地化”という邦訳の通り、その内容を現地の文化、価値観、言語感覚に合わせて再設計することです。単なる翻訳とは異なり、マーケティングローカライズでは伝える内容への変換が必要なのです。

例えば、Webサイトで「安心・安全」をアピールしたい場合、日本では「厳しい品質管理」「日本製」という言葉が効果的かもしれませんが、イギリスでは「regulatory compliance(レギュラトリー・コンプライアンス/規制遵守)」「British Standards(ブリティッシュ・スタンダード/イギリスの国家規格)」などの言葉のほうが説得力を持ちます。

また、イギリス英語ならではの表現も多くあります。「トレーナー/スウェット(trainers)」はイギリスでは「スニーカー」を意味し、「レインブーツ」は「wellington boots/wellies」、「フライドポテト」は「chips」(ポテトチップスは「crisps」)という単語であるため、製品コピーにそのまま使用すると誤解を招くこともあります。

 

海外向けコンテンツのローカライズにおける重要性

海外進出を成功させた日本企業に見る言葉のローカライズ事例

海外進出を成功させている日本企業は、やはりローカライズを導入しており、翻訳だけでは得られない“海外の反応”を意識したマーケティングを行っています。

例えば、UNIQLO(ユニクロ)は世界中で展開しているため、各国の文化や気候、ファッションの価値観に合わせて商品説明や広告コピーを調整しています。

雨や湿気に悩まされる地域のあるイギリスでは、パフテックジャケットの商品説明において、「濡れても温かさを保つ」「湿気に強い」という機能性をアピールするために、日本語サイトの“その暖かさは、水分に強い。”を直訳せず、撥水性/耐湿性を強調した“Moisture-resistant warmth.(撥水性/耐湿性のある暖かさ)”というコピーを採用しています。

英語版の商品説明は日本語サイトに比べて全体的に簡潔にまとめられており、読み手がすぐに機能や利点を理解できるように設計されています。欧州では「何がどう役立つのか」を短く明確に伝えることが重視されるため、抽象的な表現や情緒的なコピーよりも、実用性・機能性の伝達が優先される傾向があります。

一方、夏の高温や蒸し暑さが非常に際立つ地域のあるオーストラリアでは、夏に向けたAIRismキャンペーンにおいて、“Prepare for the Summer Heat” や “Staying cool during the hot summer” のようなコピーを使い、暑さ対策を求めている消費者に響くメッセージを届けています。

これは現地の消費者がその言葉をどう受け取るかを起点にした言葉のローカライズと言えます。

また、Ajinomoto(味の素)は、日本語のうま味概念を英語圏に分かりやすく伝えるため、“umami”という言葉をそのまま使いながら、“fifth basic taste(5番目の味:基本である甘味、塩味、苦味、酸味に加えての味覚)”という説明を添えるなど、文化的背景の違いを補う工夫をしています。

マーケティングローカライズがもたらすメリット

さらに、ローカライズはブランドの信頼性向上にも繋がります。

海外のオンラインショップやカスタマーサポートから届いたメールで不自然な日本語を目にし、不審感を抱いた経験は誰しもあるのではないでしょうか?

それはイギリス消費者にとっても同じです。

適切なイギリス英語、ネイティブのように自然な表現、共感を呼ぶストーリーが整ったコンテンツを提供することで、顧客は企業やブランドが“偽物”でないことを確信し、安心して利用することができます。

「カスタマーサポートの表現」や「FAQ(よくある質問)」では、形式的な定型文より、親しみやすく丁寧なイギリス英語のスタイルを取り入れることで、より高い信頼感を生み出せるでしょう。

また、イギリス消費者は社会的責任やサステナビリティに関する表現にも非常に敏感です。例えば、「エコ商品」という表現も、「sustainably sourced(持続可能な方法で調達された)」「environmentally responsible(環境に配慮した)」など、より時代に合った言い回しで伝える方が響きやすいです。

言葉のローカライズは、信頼と共感を生むために、投資する価値のある取り組みと言えるでしょう。

 

海外進出成功の秘訣は言葉のローカライズにあり

このように、海外進出においては、言葉の壁は越えるだけでなく、現地の言葉で語ることが求められます。

単語の選び方ひとつで製品のイメージが変わり、商品の説明文にストーリーを加えるだけでブランド価値が高まる、そしてサポート対応の言葉遣いで企業への信頼が生まれるように、言葉のローカライズにはメリットがたくさんあります。

さらに、ローカライズされたコンテンツは、エンドユーザーだけでなく、ディストリビューターやエージェントなどの現地パートナー企業との信頼関係を築く上でも重要な武器となります。イギリスのビジネスパーソンは論理的で簡潔な表現を好みます。冗長な言い回しや過剰な自己主張は避け、相手に伝わるロジックで製品やサービスの価値を伝える必要があります。

翻訳とローカライズの違いを理解し、単なる言語変換ではなく伝わる言葉で自社製品やサービスを現地市場に送り出してみませんか?

 

 

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出典:

https://www.uniqlo.com/uk/en/contents/feature/masterpiece/product/pufftech-jacket/

https://www.uniqlo.com/jp/ja/contents/feature/masterpiece/product/pufftech-jacket/?msockid=23196bcc98476e8423dc7e15991f6fd5

https://www.uniqlo.com/au/en/news/topics/2024060406/

https://www.ajinomoto.com/innovation/our_innovation/umami/about_umami?utm

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